吹雪とヒロト


じゃじゃーん、と勢いよく鞄にから取り出したのは手のひらより一回り大きなメロンパンだった。
「100円セールだったんだ。」
と、嬉しそうな笑みを浮かべて包んでいた透明の袋をバリバリと開ける。ふわりと甘い美味しそうな香りが辺りに広がる。
美味しそうだね、と答えるとすごく美味しいんだよ、と頬を緩ませた。


ヒロト君がぱくりとかじりつけば、サクッサクッとリズムよくメロンパンの表面から音がする。本当に幸せそうに食べるものだから、思わずじっと見てしまった。

「なにか…変かな?」
両手でパンを持ちながら、きょとんとした様子でヒロト君は小首をかしげる。
「え。あ、何でもない…。」
よ、と言おうとした時。口元にメロンパンの表面にかかっていた砂糖がついていた。
いつもの癖、なんて言ったらキザっぽいけどなんのためらいもなく、ヒロト君の口元についた砂糖を舐め取ろうと顔を近づけた。
「あ。」
周りからの視線が痛いと思えば、そういえば学校だった、教室だった。
パッとヒロト君から身を離し、頭にはてなマークを浮かべたヒロト君の口元を指で拭く。
するとヒロト君はふふっと目を細めて微笑し、僕の腕をグイッと掴み顔を耳元に近づけ小さく囁いた。


「わ・ざ・と。」


そう言えば掴んでいた手を離し、なにくわぬ顔でメロンパンを食べ始めた。
少し思考停止する僕は、ヒロト君をただ見つめる。チラリとヒロト君がこちらを見たと思えば、いつもの笑顔でご飯食べなきゃ、と微笑んだ。





メロンパンと確信犯

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