もしもの話だけど
「なあなあ蔵リン、もしもやで?もしも、ゆえちゃんと謙也クンの二人が断崖絶壁から今にも落ちそうで、どっちか一人しか助けられんとしたら蔵リンはどっちを助ける?」
「まず一切の迷いを無くすため謙也を蹴り落とす」
「これまたこいつは迷いなく即答しおった!」
「それに伴い謙也の周りの空気が一気に重んなったばい!」
「謙也さんは想像以上のダメージを受けた!てか、普通に考えたら当たり前ですやん」
「…………うん、あんさ、別に俺かゆえかって普通に迷ってもええと思うで?」
「声ちっさ!」
「結果は同じや、迷ったって変わらへんと思うで」
『あたし的にこれは喜んでええの?』
「ゆえちゃん、何も言うたらあかん」
「せやったら白石部長、金ちゃんとゆえ先輩やったらどっちにします?」
「………………………………………………」
「随分と長いシンキングタイムやな」
「そこはそんなに迷うとこなんすね」
「ゆえは天使やから……きっと空も飛べる」
「今の俺が言うんも何やけど大丈夫か白石」
「財前、たった今からお前が新部長や」
「わーい別にいらんけど新部長の名貰ときますわ」
『おめでとー』
「ちょ、待てええい!譲らんし気が変わった!財前にはやらんと決めた!」
閑話休題。
「んならゆえ、謙也と俺やったらどっちを助けるん?」
『謙也くん』
「ゆえ……!あかん、今なら恋に落ちれる気いする」
「……財前と俺は?」
『財前くん』
「何やとりあえずおおきに」
「……千歳と俺は?」
『千歳くん』
「さすがゆえやね、嬉しかばい」
「…………ユウジと俺は?」
『ひとうじくん』
「……お、おん。おおきに」
「…………小春と俺やったら?」
『小春ちゃん』
「きゃあー!もうゆえちゃん好ーきっ!」
「………………金ちゃん?」
『金ちゃん』
「…………報われへんな、白石も」
「打って変わって今度は白石のオーラが真っ黒くなりよお」
「蔵リン大丈夫やって、いつかは助けてもらえるようなるできっと!」
『(だって蔵、崖からでも何でもはい上がって来れそうな気いするもん)』