月曜日は委員会だったからごめん。火曜日は私が寝坊したから遅刻しちゃったよね。水曜日は病院行ってたんだ。木曜日は居残りしてたのに待ってくれてありがとう。金曜日は、ジャージ忘れたって言っても先に行かないで待っててくれた。本当に、毎日毎日送り迎えありがとう。
これって別に今週に限った事じゃないんだ。小さい頃から私達はずっとこんな感じ。小学校の頃から、私はいつも蓮二といた。私と違って頭いいから、寝坊した回数とか全部覚えてるんだろうな。私が覚えていない事を、蓮二はたくさん覚えている。私が知らない事を、蓮二はたくさん知っている。蓮二はやっぱりすごいね。でも、私だって知ってる事はあるよ。覚えてる事だってある。蓮二に貰ったホワイトデーのお返しとか全部覚えてるし、小学校の頃は何して一緒に遊んだかとか、どんな喧嘩したかとかも覚えてる。その蓮二がどれだけテニスが好きで、頑張ってるかも一番知ってるつもり。今年は中学最後の夏だったから、あの結果がどれだけ悔しかったかも分かるよ。あのね、私は蓮二が大好きなんだけど、それも、蓮二は知ってるよね。実は、大好きな蓮二に言ってないことがあって。それを今日は伝えたくてね。
ミルクティーから上る湯気の向こう側には、難しそうな本を読む蓮二が見える。甘い匂いと窓からの日射しとが織り成す空間が心地よくて、少しだけ微睡みそうになる。蓮二は、眠くないのかな。
「……眠いのか?」
すっと伸びてきた大きな手は私の頬をすっぽりと包んでしまう。蓮二の冷たい手が気持ち良くて、私は返事をしなかった。あ、蓮二に言わなきゃいけない事があるんだ。
「あのね蓮二」
「なんだ」
「私、勉強して蓮二専用のトレーナーになりたい」
蓮二は少しだけ虚を突かれたような表情になる。本格的に眠くなってきた私は目を閉じた。
こんな風に思えるようになったのは蓮二のおかげ。私は蓮二が大好きだから、一緒に夢を見たいと思った。
「ちゃんと栄養考えてご飯作るから、お嫁さんにしてください」
「……幸せにする」
きっと蓮二は笑っているよね。瞼は閉じたままだけどそれは分かる。だって私は蓮二の事は何でも知ってるもの。
うん、まあとりあえず、これからもよろしくお願いしますって事なんだけど。
美しき日々はこれからも続いていく
(君がいてくれた日々はきらきらと美しい。だから、これからもきっときれいなんだろうな)
09/1119
書いてから気づいたんけど柳って途中転校してきたんだった。しまった時制がおかしい。気にしないでくれたら嬉しいです。