※ヒロインが大分変態に仕上がってます。俺の分身が呼んでる……って姉様方はどうぞお進みください。


















「日吉くん、ちゅーしていいですか」

「いいって言うと思ってんのか馬鹿が」

「えっ……?」

「何だそのさせてもらえると思ったのにって反応!」

「こらこら君ら、今部活中なんやで。知っとった?」





認めたくはないが、残念ながら俺の思い人は変だ。というか、変態だ。所謂痴女である。



「日吉くん、頑張って。ジャージ預かろうか?」

「……どーも」

彼女は、非常に献身的だ。


「お疲れ様。今のゲームよかったよ」

「跡部さんじゃ仕方ないけどな」

また、心遣いも細やかにできる。


「はい、コースの分析まとめといた。これでいい?」

「ああ、サンキュ」

頼んだ仕事はきちんと片付けて、こちらが求めた以上の結果もついてくる。


「好き嫌いはだめだよ、跡部さんに笑われるよ」

「………………はあ」

料理も人並み以上に、というか、普通に上手い。


「姓、あとで書類まとめるから手伝え」

「はーい、あとで」

あの跡部さんからでさえも勿論、充分な信頼を得ている。


「名ちゃん、かわえーやんなあ」

「忍足さんにはそう見えるんですね」

先輩方からは人気、らしい。それはきっと先輩だけに限った事じゃないのだろうが。
大人しめで特別目立っている方ではない彼女。けれど分かる人には分かる、関わってみれば彼女はとても繊細で、穏やかで、清楚で、可憐で、品があって、褒め言葉はいくらでも出てくる。ただ、妙な癖を除けば。


「日吉くんいいにおいするね、何か持ってる?」

「うわっ!!か、肩に、顎、乗せるなっ!」

「……ふーん」

「あと首筋に鼻を寄せるな!嗅ぐな!俺は何も持ってない!」

「……へーかじっていい?」

「人の話聞けよ」

「ふふふ……日吉くん美味しそうだね……ふふ」

「その気持ち悪い笑いを今すぐ止めろ」

「じゃあかじっていい?」

「な、ん、で、そうなるんだよ!」


詳しい説明もいらないだろう。彼女は日々、何かと俺を食そうとしてくる。勿論性的な意味で。
ここで先程の話の内、一つをもう一度繰り返してみると、以下のようになる。


「日吉くん、頑張って。ジャージ預かろうか?」

「……どーも」

「いえいえ。……」

「って早速着るな!!嗅ぐな!!せめて本人の前でするなよ!」

「えっ!日吉くんのジャージ持ってて何もするなって言うの?!」

「そこまで真面目な顔で言われると俺が間違ってる気がしてきた」

「しっかりしろよ日吉。お前間違っちゃねーよ」




「名、お前そんなに日吉のどこ好きなん?具体的に」

「匂い。いや、ツンデレなとことか、照れ屋なとことか、純情なとことか、指とか睫毛とかも捨て難いんですけど、ひっくるめてむしろ全部好きですけど、強いて言うなら匂いですね。ほんといい匂い。何だったら舐め回してもいいくらいです。隅々まで。ほんとパンツ欲しいです」

「それは俺が嫌だからやめろよ」


もう何回聞いたことか。名は指折り数えてはいつも俺に言っている。何で、俺もこんなのに惚れたんだか、それはきっと一生かかっても完全な解答はできないのだろう。


「日吉くん好きですパンツ頂戴」

「やるって言うと思ってんのか」

「本人おるのに正面きってそんなん言えるとか大したもんやなあ」


初めて出会ったときはこんな痴女だなんて思わなかった。見た目通りの清楚な女子なのだろうと思っていた。脆くもその考えは幻想でしかなかったが。欠陥のない人間などいないと痛感した日だった。
今考えると、俺は彼女に一目惚れだったのかもしれない。それならば、こんな目に遭わされても、未だ思い冷めやらぬのも、惚れた弱みだということで諦めきれるものを。


「一枚や二枚いいじゃない!……それとも、私のとかえっこする?」

「は…………?」

「お、やった!日吉くんを初めて惑わせた!やったー!」

「ちが、おま!」

「日吉顔赤いでぇー」

「ひゅーひゅー」

「黙っててください忍足さんは!!って何で向日さんまで増えてるんですか!!!!」

「ほんとに、欲しいんだったらあげるよ?」

「いらねえよ!!あああああもうお前女子なんだからそんなこと言うな!!!」

「………………ふふふ。日吉くん、耳まで真っ赤だ。好きよ。日吉くん」

俯していた顔をつい勢い良く上げてしまった。更に顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。




「俺は、お前なんか、嫌い、だ!」









10/1205

よもやこんなのを彼の誕生日にあげてしまうとは。
日吉のジャージくんかくんかしたいあとパンツ欲しいって思ったらこうなった。ごめんなさい。反省してます。久しぶりの更新がこんなのでごめんなさい。でも日吉くんおめでとう。








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