おかしい、と気づくのが遅かった。なぜなら私は気づいたときには既に部室で待機しているしまっているような、取り返しのつかないほどの阿呆だったからである。
思えば珍しく私が一番乗りに部室に着いた瞬間からおかしいと気づくべきであった。一番だという感動的事実が私を盲目にしたのだ。まるで小学生のように、年甲斐もなく飛び跳ねて喜ぶ私を阿呆以外に何と形容できようか。私には思いつかない。
それから気づいたのは約30分後になる。いくらなんでも皆揃わなさすぎるのではないかと、そう疑った私はとりあえず跡部に聞いてみた。電話をしてみたら、どうやら寝起きだったらしく正直イラッとした。
「何でみんないないの」
「あーん?何言ってやがる馬鹿が、オフだからに決まってんだろ」
「………は?え、何、オフ?今日オフなの?」
「聞いてねーのかよ」
「ききき聞いてねえよ!聞いてたらこんなとこいねえよ!」
「日吉にお前に伝言をと言ったんだが、伝わってなかったようだな」
さてと、きのこ狩りにでも行こうかな。
若干うなだれつつも跡部との電話を切り、この場に得に用があるわけでもないので、今日のところは学園を後にすることにした。
荷物をまとめ、立ち上がろうとした矢先、私は目線の先に部室のドアノブが回るのを捉えた。そして開いたドアから顔を出したのは諸悪の根源たる日吉若であった。
「おはようございます先輩」
「出たなきのこの妖精!何で来てんだよ!」
「朝から何て洗礼を受けさせるんですか。先輩こそ、あ、俺言ってないんでしたね」
「やはりお前か。何で言わなかったんだよ!オフだって知ってたらもっと寝てたよ!」
「たまの休みを寝て過ごすなんて華のない生活してるんですね」
「余計な世話じゃばかたれ」
「じゃーこうしましょ。もう仕方ないからデートしましょ。それでちょっとは華があるような気がしてきません?」
「………………ねえどうしたの日吉。あんたちょっと今日おかしくない?」
「失敬な。それに、別に忘れてたから言わなかったわけじゃないんですよ。ただちょっと先輩に伝えたいことがあって。だから言わなかったんですよ」
「なっ、なに?」
「……はっきり言わなきゃ駄目ですか」
「言うために私に伝えなかったんでしょーが。早く言えこの」
って言うか、すっかり真っ赤になっちゃってる、いつもの生意気坊主改め可愛らしい日吉が私にあられもない言葉を伝えるのを見たいだけなんだよね。
10/0620
日吉ってこんなんだったっけか……?だいたいあってる?
ふざけたタイトルですみません