幼なじみ







俺の幼なじみはそれはもうモテる。性格も頭も良いとは思えないのだが、その整いすぎた顔のお陰でモテモテである。

少しチャラい金髪ピアスで泣きボクロがセクシーなプレイボーイ。それが奴だ。


「おい木島」

「なんだよ」

「なんでここにいる。」


起床した途端に目に入るどころか目の前に映るプレイボーイ。名字は木島名前はたける昔はたけるたけると呼んでいたのだがいつから木島と呼ぶようになったのか。そんなことを思いながら木島を布団から追い出す。

「いってえな!追い出すことねえだろ………」

文句をたらたらと述べる木島を無視して学校へ行く準備を済ましリビングへ向かう。

誰もいないリビングで静かに朝食をとるのが日課であり楽しみでもある。

朝のリフレッシュタイムは大切だ。

それなのに木島は突如として乱入してくる。


中学を卒業する頃には属するグループも違い離れていた木島。高校に上がってからは全くもって関わらなかった筈なのに何故だか少し前から俺の家に居座っている。

一度だけ今さら何の用だと言ったことがある。木島は何の表情も作らず、次の瞬間には何も無かったように笑っていた。

だから俺は何も言わない。あんなのは木島じゃないと思ったから。



だがしかし最近の木島は俺の家に居座り過ぎだと思う。何人いるのかも分からないが彼女はいいのかと思う程、ほとんどの時間を俺の家で過ごしているように感じる。というか本当に過ごしている。

はあと溜め息を吐きながら朝食の準備を済ますと、タイミングを計ったかのようにリビングにやってくる木島。


「お、今日はトーストか。俺イチゴジャムで」

「自分で取ってこい!」


ちゃっかりコイツの分の朝食まで用意している俺は自分で言うのもあれだが優し過ぎると思う。

朝食を食べながら木島のどうでもいい話を聞き流す。

そろそろ行かないと遅刻だというギリギリの時間になってから俺は席を立つ。

「は?もう行くのかよ…………」

つまんねえとむくれるコイツは確か俺と同じ高校の筈なんだがな。

俺達はいくら長い時間を同じ家で過ごしても、学校に一緒に行くことは無いし学校で一緒に居ることは無い。

まず、木島は遅刻常習犯である。

それから木島の友人は不良ばかりだ。俺が木島と仲良くすれば今の俺の友達は離れて行くだろう。いくら頭の悪くて遠慮の無い木島も分かっているようだ。

わざわざ玄関まで見送りにくるコイツは遅刻常習犯ということを無視すれば、なかなか可愛い奴だと思う。

行ってきますと冷たく扉を閉め、寂しそうな木島の顔を盗み見る。

俺は一応優等生だ。こんなに遅刻ギリギリに家を出るのは何の為か、頭の悪いたける君は気づいていないらしい。





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