平凡×不良





誰も来ないはずの屋上。その手前の階段で、片手に煙草を握るいかにもという不良がいた。確か名前は平山しゅーすけ。漢字は忘れた。

1秒以上気に留めることはせず、屋上に向かう。


俺、相田誠(あいだまこと)は非常につまらない人間だ。見た目も中身も平凡の中の平凡。器用でもなければ不器用でもない。そんな人間。

友達は特にいない。

そして、その平々凡々な俺が屋上に向かう理由は特に無い。

平凡らしく、昼飯を食べに来ただけだ。

五月蝿いのが嫌いだから食堂で食べたく無いというのもあるが。


だから俺は後悔した。平凡らしく、すぐ後ろから声をかけてきた不良を見つけた時点で逃げたら良かったと。きっと真夏の暑さに、頭がゆるんでいたんだ。

「おい。」

ナンデスカ。ゆっくり振り向く相田の真後ろには、案の定眉間にシワを寄せたバリバリの不良。

「てめぇ、無視してんじゃねぇよ。」

「…………すみま、せん。」

平凡は平凡らしく素直に謝る。だが、平山はそれが逆に気に入らないらしい。

胸ぐらを掴まれる相田。

そこで相田は、初めて平山の顔を見た。驚きに目を見開いた相田に平山も不審な顔を向ける。

そして相田は、思った。その顔も可愛いなと。



はじめまして、ただの変態です。






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