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少し驚いた顔をした王子様も、それもそうですねと説明を始めた。

この世界はリオルドと呼ばれているらしい。そしてこの国はグライス王国。ここはその王宮だそうだ。この王都の遠くにも街や村はあるが、一応グライス王国には変わりないらしく、この王国が唯一の国であるそうだ。

また、魔法や魔力などの説明もあった。魔法とは、誰にでも使えるもので生まれ持っている魔力を用いて行使する。魔力の属性によって、使える魔法も変わってくるらしい。属性は全部で、6つ。火、水、土、雷がほとんどで、稀に光、闇、があるそうだ。複数の属性を持っている場合もあり、それは稀少との事だった。

そこで副会長が、一つよろしいでしょうか?と口を挟む。

「……私たちも、その魔力を持っているのですか?」

「当たり前だろ。」

ずっと黙っていた、赤髪の恐らく二番目である王子様が答える。

と、先程から説明をくれる恐らく一番目の王子様が魔力は誰にでもあるもので、たぶん俺達にも訓練すれば使えるようになると説明してくれた。

副会長は、赤髪の王子様を見やりながらも黙る。

そして再び説明がはじまる。この世界の崩壊の原因でもある魔族の話。まあ、俺はもとより神様から聞いているしと思い聞き流す。

まあ、簡単に言うと魔族が増殖して人間を手にかけ始めたって感じだな。裏では魔王の復活とかも関わっているらしいが。

それを神子様に救って欲しいらしい。

隣に座った秋元が先程から、ちゅうにっちゅうにっ厨2ワールドと歌っているのは気にしない、いきなり無理だろと言おうと俺が口を開く前に朗人くんが口を開く。

「てめぇらの事情は知らねぇけどな、いきなりんな事いわれても無理があんだよ。」


うむ、朗人くんとは気が合いそうだな。


「では、学園に通っていただきます。」

冷たい声が、意味の分からない事を言う。

「来週に、この王都で一番の名門校で入学式があります。」

そこなら、魔法の使い方も教えて貰えるでしょうし、この世界のことも分かると思います。との事だった。


「……つまり、訓練でもしろと?」

朗人くんが溜め息混じりに言う。俺も全く同じ事を思ったぜ相棒。

「ええ。この世界を救うためです。あなた方なら大きな力を手に入れられるかもしれない。」

「………手に入れらなかったら?」

副会長が問う。


「普通に卒業して仕事でも見つければいい。」

まあ、元の世界に戻れる戻れない云々はこの世界を救えたとしても分からないしなと俺は思ったのだが周りは違うらしい。副会長は黙り込み、書記も心なしか顔が青い。

流石の朗人くんも舌打ちをしていた。

秋元は………。まあ、なんとかなるかという感じだった。呑気な。


今日は珍しく一度も声を発していない会長は、驚く程無表情だった。

そこで気が付く。あれ?なんであの俺様が黙ってるんだ?

だけど、やっと会長が重い口を開いた。


「その学園は、国立インセント学園か?」

「ええ。」

どうしてその名を?と王子様が聞く前に会長は思案するように顔を伏せ黙り込んだ。

謎である。

部屋が静寂に包まれる中、秋元が空気は吸うたためにあるんだぜ!と言わんばかりに口を開く。


「ねーねー。その学園ってどうやって入るのぉ?裏口ぃ?」

我が友人ながら、キモイな喋り方。

「ええ、まあ。今更受験もできませんし。」
そして裏口なのかよ。

「制服などは今週までに用意致しますので、皆さんは自由に過ごしてくれて結構です。」

王宮の外に出る時は、護衛を連れてなら城下町までは許可しますということだった。

それから、もし行くならばその制服だと目立つので、部屋にある服を着てくださいとのことだった。

とりあえず街には行っておきたかった為、秋元をつれてさっさと部屋を出る。

そうだ朗人くんを誘ってみようと、声をかけると驚いたようだが快く頷いてくれた。

さぁ、街に行きましょうかね。