どこでもdoor! | ナノ
目が覚めると、どこの中世ヨーロッパだよ(ヨーロッパか。)というようなベットの上だった。
そして、部屋を見渡してみる。このベットがかなり浮いてしまうような、シンプルな部屋だった。
そして人影が一つ。あれ、腐男子野郎ではないか。こちらの視線に気が付いたらしい奴が抱きついてきた。
「ゆーへぇぇぇ……。」
どうやらずーずー泣いているらしい。汚ねぇなぁと思いながら蹴飛ばす。
そして念のために言っておくが、俺の名前はゆうへいではない。俺の名前は羽島、佑だ。ゆうへいではないゆ、うだ。
そして、神様やらにしたのと同じように尋ねる。
「説明。」
はじめボケッとしていた腐男子野郎、もとい秋元一郎も理解できたようで、状況を説明しはじめる。
どうやら、先にこの世界に到着したこいつらは近くに居たこの世界唯一の国の王族に拾われたらしい。
そして転校生のことを神子様神子様と称えだしたのだそうだ。そういえばこいつらの中で王道だけが黒髪であった。
腐男子野郎は茶髪だし、副会長さんも黒ではあるのだが色素が薄い。さらに会長と書記さんと一匹狼君は金髪だ。金髪率高いな。
ちゃっかりと美形集団の説明もできてしまった。ちなみに腐男子野郎が会計である。
なんとなく予想通りだな。というか言語は変わらないんだな。
で、俺はどうやってここに?と尋ねると、どうやらこいつらを乗せて国に向かっていた馬車に上から突っ込んできたらしい。
神子だと思われている転校生のお陰で命拾いしたらしい。ムカつくことに。
「で、この部屋は?」
「俺達に割り当てられた部屋だよ。」
「ふーん。」
待遇は、まあまあってところだな。神子以外はポイ捨てだと思っていたが。
「なんか俺達、王道くんの従者だと思われてるらしい。」
「は?」
「王様が従者達は後から来るようにって言ってた。」
溜め息しか出てこない。神子は俺だ。よって美味いものは俺のものである。
まぁ、いいか。説明だるいしと思ったが、いつもよりテンションがあまりに低い秋元氏に気が付いた。ここが何処であるだとか全く分からないし、不安なんだろう。
俺が救世主だとか云々は省いて説明してやった。
「………………。」
奴は何を思ったのか黙り込んでしまった。そして、これは放置だなと思い部屋を出ようと扉に手をかけたのと同時に叫び声をあげた。
「異世界トリップキタコレー!!」
元気で何より。だが、一発殴るのは忘れない。
テンションが上がると殴っても喜ぶ秋元に案内させ、王様の元へ向かう。ずっとトリップトリップ叫んでいたソイツは王様の元へ向かうにつれ、猫被りに戻っていく。
きっと生徒会の奴らも居るんだろうなと思った。そして生徒会の奴らにも一匹狼君にも、秋元が腐男子だというのは既にもろバレ、なのは黙っておいた。
気づいていないのは王道くらいだろう。
無駄に長い、王宮の廊下らしい廊下を歩き、突き当たりの大きな扉の前で止まる。
そして磨きに磨かれた扉に映る自分は、髪の毛が茶髪であった。そういや、この前染めたっけと思い出しついでに神様を思い出す。
俺、どちらにしろ黒髪じゃないから駄目じゃん。
秋元が立ち止まった俺を不思議そうに見てから、大きな扉を開く。
中には、カオスが広がっていなかった。
1人1人が大きな長机の周りに大人しく座っていた。
「あーーーー!」
という、転校生の叫び声とともに神子についての話し合いが始まった。
神子様は、王様と思われる人物やその他の美形達と別室に行ってしまった。
王族の代表として話し合いに参加したのは、曰わく王子様方だった。
全部で3人。兄弟にしては似ていないが、みんな揃って美形であった。
あれか、俺以外みんな美形なのか。
「えーと、すみませんねお待たせしてしまって。」
俺が謝りながら空いている席に座ると、中央にすわる王子様が口を開いた。
「いえ。それでは、質問がある方は何でも仰ってください。」
冷たい印象の人だった。髪の色も目の色も浅いブルー。
俺達の中で先に口を出したのは、意外にも一匹狼の冴島朗人くんであった。
「この世界について、一般常識から歴史まで全て知りたい。」
驚いた。もの凄く賛成である。
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