どこでもdoor! | ナノ






羽島と朗人くんがいちゃいちゃらぶらぶ(秋元視点でいうと)していた頃、秋元は……………相も変わらずはすはすしていた。



真っ白な空間の中に対峙する秋元と、かつて羽島に二度も気絶させられた大天使様であった。


「はぁはぁはぁ………お嬢さん俺とやらないか?」

「ぎゃああああ、近づくなぁああ!」

「はぁはぁはぁはぁ…………。」

手をワキワキと動かしながら天使に迫る秋元。逃げる天使。


「私は何て奴と契約をっ!」

「はぁはぁ、逃げないでよぉ。」





この状態になる少し前。秋元はいきなり真っ白い空間に連れてこられた事によりだいぶ混乱していた。

「こ、ここはどこ?私は誰?」

「ここは私が作った空間です。あなたは私の主となる人です。」

そこに突然現れた天使。天使は神様の次に位の高い大天使である自分を呼び出す程の魔力を持っていた秋元に警戒心というものを持ってはいなかった。

「私と契約してくださいますか?」

秋元は突然現れた美形(翼付き上半身裸)に鼻血をおさえながら無言で頷いた。

満足気に天使は、ではと言って自分のおでこ秋元のおでこにくっつける。無言で悶える秋元。互いのでこに魔法陣と同じような文字でかかれたマークが浮き上がり、すぐに消えた。


「これで契約完了です。私はミカエルといいます。自然を司る天使です。これからどうぞ宜しくお願いします。」

「………あ、秋元です。宜しく。」

「ええ。」

にっこりと笑ったミカエルは、自分の呼び出し方や能力を説明し、私は一旦天界に帰りますと言ったところで秋元が正気に戻ったのだ。いや、正気が正気で無いのだが。

そこからミカエルの悲劇は始まり、今にいたる。


「こっちおいでよ、痛いことしないからさぁ…………。」

今にもミカたんはぁはぁと言い出しそうな秋元。

恐怖に顔が引きつるミカエル。

しかし何かを思いついたのか、突如動きを止めたミカエル。好機とばかりにミカエルに飛びつく秋元。しかしそこにいた筈のミカエルの姿は無く、真っ白い鳩がいた。そしてその鳩は秋元の方を見ると、

「ざまぁみやがれです!」
と叫んだ。その声は聞き間違える筈もないミカエルの綺麗な声であった。

秋元は完全に意気消沈。

だがしかし、秋元はいろんな意味で腐っても羽島の友人だ。馬鹿にしたように鳴く鳩に怒りを覚え、舌打ちをし片手で鳩を鷲掴みにした。

それと同時に真っ白い空間が消え、朗人くんが秋元に駆け寄る。

秋元の手元にはぐぇぐぇと苦しそうに鳴く鳩。

「おい!そいつ大丈夫かよ?」

「………全然大丈夫だよぉ、あははははは。」

猫被りに戻り恐ろしい笑い声をあげる秋元に流石の朗人くんも三歩さがる。

その後ろでうむうむと頷く羽島。

「さては寸止めでもくらったか………。」


なんで分かるんだ!と思わず羽島を見るミカエル。そして顔が引きつった。何故ならミカエルにとって羽島の存在は最早トラウマだったからだ。

恐怖に体を震わすミカエルだったが、鳩の姿のままいれば大丈夫だと自分に言い聞かせる。



秋元があげる不気味な笑い声に便乗するように、にやにやし始めた羽島の瞳は真っ赤に染まっていた。

(全部お見通しですよ、ってね。)




やっぱり朗人くんは呆れ顔であった。