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side第2王子:ハルト



久しぶりの遠出を満喫している途中、突然現れた人間達。

兄曰わく異世界からの救世主。

そんなものに興味がない俺は、せっかくの休日を邪魔してきた、神子らしき人物である無駄に喚く糞餓鬼にイライラした。

少し早めに帰宅すれば、神子を見て騒ぎ出す城の住人。

こんな糞餓鬼相手に何を盛り上がるところがあるのか、上官達が神子様万歳と祭り上げた。


そしてあまりに上機嫌な神子様の従者だとは思えないくらい困惑した様子の人間達と話し合いが行われた。

顔は恐いが、まともな発言をする確かサエジマという男の言葉に兄が答える。

すると、途中に口を挟んでくる奴がいた。少し色素は薄いが、綺麗な黒髪で顔も小綺麗な男。

はじめ見た時からいけ好かないとは思っていた。

敬語と作り笑いと柔らかい物腰。俺の最も嫌う人種だ。

少し攻撃しただけで睨みつけてきた。


無視して話し合いも聞き流す。いつのまにか部屋には誰もいなくなっていた。

神子様は相変わらず城で蝶や花やと甘やかされ、あのいけ好かない奴は何故か兄と仲良くしていた。

俺の兄は人を見る目だけはあった筈なのだが。


そして従者達は、俺が生徒会長として牛耳っている学園に入ってきた。

そしてよりによってあのいけ好かない奴を兄が生徒会に勧誘すると言い出した。

「拒否だ拒否。」

「もう、私が決めましたので。」

正式な書類を目の前に突き出す兄は、相変わらず冷たい声で冷たい言葉を吐き出す。

「なんであいつなんだよ!」

「面白いからですよ。」

「意味分かんねえ………。」

即答する兄は、もう奴を生徒会に入れる気満々なんだろう。


渋々と書類を受け取る。

「………イズミユウト?」

名前なのか?


「泉、優人ですよ。」

「………イズミ…ユウト?」

俺が良く分からないままそいつの名前を呼んだ時、ちょうど生徒会室の扉が開いた。

俺はわけも分からず、赤面した。

何故だか無性に恥ずかしかった。