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会長side


やはり、見たことのある学園だった。

この世界に来てから見てきたモノすべてが、見たことのあるモノだった。

例えば街並みだとか、王宮だとか王様だとかすべてが。

夢の中で。

俺は最近気に入っていた転校生が神子だとか祭り上げられたことは、結構どうでも良かった。

ただ、いつも夢を見せてくれる黒い竜が気になった。

もしかしたら会えるのではないだろうか、とも思った。

「できたら、会いてぇな。」

そう思う。

だから、神子についての話し合いが終わってすぐ眠りに入った。

この世界のことなんて、初めから知っている。あの竜が教えてくれたから。

でも、夢を見ることが出来なかった。いつも必ずといっていい程、見る夢を見なかった。

俺は、ずって自室で眠った。

それでもあの夢を見ることは出来なかった。

だが、学園についてからなんとなくここなら見られる気がした。

入学式を抜け出して、眠れそうなところを探して眠りにつく。

そしたらいつも遠くにいる竜が近くにいる気がした。もうすぐ会えるかもしれないと言われた。

嬉しかった。

ただ、目を覚ましてもう夢を見れないのではないかと不安だけを募らせて、入学式に戻った。

「はやく。」

そう呟くことしかできなかった。









秋元のはぁはぁが収まって、入学式が終わり、自分の教室に行くようにとのことだった。

会長は入学式が終わる頃には帰ってきていて、何故かとても難しい顔をしていた。というか寝起きだった。

何故分かるかというと、秋元くんの盗聴器で確認済みだからです。

なんか外でお昼寝してたらしい。


「会長、いい夢見られましたか?」

と、尋ねたら

少し驚いた後、泣きそうな顔をされた。そして再び秋元がはぁはぁ言い出した。

けれど会長はすぐに、ふっと笑って

「いい夢になったらいいけどな。」

と返事した。

秋元を蹴りつけるのに必死だった俺は、半分くらいしか聞いていなかったけれど。