どこでもdoor! | ナノ
結局俺たちは講堂に残っていた先生方に追い出されて、そとに出た。
出たのはいいがそこには、気絶した新入生達が大量に倒れていた。しかも大量に頭上に飛び交う魔法。
なんか火とか水とか氷とか雷とか、とにかくカオスであった。新入生はまだあまり魔法を知らない。といっても俺達と違って全く知らないわけではない。ただ実践経験が皆無なのだ。
そう、この新入生歓迎会は魔法の恐ろしさや厳しさを新入生に思い知らせるためにあるのだ。
とは、ホスト教師の台詞だ。いいのか言っちゃって。
「おい、これどうする?」
朗人くんの声で我に帰る。どうもこうも俺達はここに転がっている新入生達よりも魔法が使えない。
ならば…………………………
「逃げるしかないか………………」
「えー」
『えーえー』
鬱陶しい秋元の声と頭に響くシンの声を無視して、逃走する。全力で。
魔法を避けながら走るのなんて普通は無理だが、どうやら神様スペックのおかげで身体能力も上がっているようだった。
『俺のおっかげー!』
恐らくドヤ顔をしているだろう神様を無視して、とにかく逃げる。
カオスな戦場から少し抜けて振り向けば、ついてきたのは朗人くんだけだった。
というかついてこれたのは、だろう。流石に不良してただけはある。
未だに講堂の入り口付近にいるだろう秋元達を探してみると、会長が手慣れた様子で魔法を使っていた。
「ハァハァ、ッはえーよ羽島!」
「朗人くんてば、体力ねーなー」
まあ、訳ありっぽいし秋元達は会長に任せてしまうことにけってー。とりあえず校舎内に逃げ込み、適当な教室に隠れる。
「たくっ、お前のどこにそんな体力があるんだよ?」
「うーん、教えて欲しい?」
「ああ、是非とも教えて欲しいよ………。」
ため息をつく朗人くん。
たぶん、朗人くんにはほんとのことを言ってもいいだろう。秋元と同等に信用できる人間だ。
「朗人くんさ、………。」
「あん?」
「口固いよな?」
「は?いきなりなんだよ………。」
疲れた様子の朗人くんの肩に手を置いて耳元に口を近づける。
「今から見せるもの、いうこと、黙ってて欲しいんだよね。もし、誰かに漏らしたら……………」
ゴクリと息を呑む朗人くん。
「………………漏らしたら?」
それからいろいろと、まあ説明すれば終始呆れ顔の朗人くん。
神様を目の前にしたときに至っては顔に面倒な奴が増えたと堂々とかいてあった。
「で?これからどうするんだ?」
「とりあえず副会長見つけたいかなー」
豪華商品というやつが、ご馳走であれば皆殺しにしてでも優勝してやる。
だからとりあえず副会長を捕まえて商品の内容を聞かなければ………。
「一応、参加はするのな………。」
「あったりまえよー!」
とりあえず神様をナビに副会長を探すため、進み始める。
「それにしても……………漏らしたら犯す、ねえ?あれはまじだったなこいつ。まさか俺がこんなにビビるなんて、な………。」
深いため息を吐いた朗人くんの声は既に臨戦態勢の俺には聞こえていなかったし。その手が震えていることにも気づかなかった。
『…………お前って意外と怖いよなあ』
「は?」
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