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次の日。朝から集会があるらしく、何時もメンバーで講堂に向かう。

神様と秋元は徹夜でマリカをし友好を深めていたにも関わらず、驚く程元気だ。しかも神様は自分の声を秋元にも聞こえるようにしやがったらしく、これからいろいろと不安すぎる。

しんちゃんなんて可愛いあだ名を付けられていたことには流石に爆笑してしまったがな。

敬意を込めて俺もシンと呼ぶことにした。


「何の集会なんだ?」

いつもの如く朗人くんがまともな質問をする。


「まあ、新入生歓迎会みたいなものですかね。」

すっかり生徒会らしくなってしまった副会長。

「お前……、生徒会はステージに居なくてもいいのか?」

とは会長様の台詞だ。


「ええまあ。私は補佐ですから。」

「補佐は補佐でも、生徒会だろ?」

確かに。


「……………補佐……役持、違。」


いつの間に居たのか謎だが、後ろからレオが教えてくれた。

喋ったああああああああああああと思ったのは俺だけでは無い筈だ。


「ええそうなんです。役持ちは生徒達の投票で選ばれますが、補佐は役持ちが独断で選ぶんです。」


「ふーん。」


そうなのかと会長が言う前にキャーッという悲鳴があがった。


「キャーッキャーッ!」

便乗する秋元。

『キャーッキャーッ!』

さらに便乗する神様。

頭の中で響く叫び声。


「うるせえ。静かにしやがれ!」

壇上に上がったハルトが俺の台詞を代弁してくれたように、マイクを使って叫ぶ。

「これから新入生歓迎会を始める!」


「は?今からか?」

みんなも同じように思ったらしく驚いているようだった。


「ルールは私から説明しますね。」

ハルトの横にアイリが立ち、ルール説明を始める。

「ルールは至って簡単です。今からそれぞれのクラスの担任が配るバッチを今から5時間以内に他の生徒から奪ってください。バッチは1つ5ポイント。奪ったポイントが多い上位3名には豪華賞品があります。」

うおーッと盛り上がる男子生徒達。この新入生歓迎会は主に男子生徒が盛り上がるらしい。

女子達は好きな男子にバッチを渡したりと、まあ緩い感じで楽しむそうだ。

そして禁句らしいが、新入生歓迎会なのに上級者達も新入生も関係なく奪い合いをするそうで歓迎会はあまり関係ない。


「おー配るぞー。」

あの賭け担任がバッチを配り始める。パッションピンクのそれは左胸のポケットに付けなければいけないらしい。

「バッチは回りましたか?奪う方法は問いませんが、死人を出すことは無いように。」

真面目なトーンに多くの生徒が黙り込む。

「といっても、今から校内には特殊な結界をはるのでどんな怪我をしても大丈夫です。ただ一定のダメージを負うと気を失うので、そこを狙ってバッチを奪うのもありでしょう。それから役持ちやその補佐のバッチを奪うと30ポイント入ります。」

俺達は一斉に副会長を振り返る。確かに副会長は少し違うバッチを付けていた。端に校章が描かれているようだ。


「では、これより新入生歓迎会を始めます。講堂を出た時点でゲームスタートです。」


「お前らッ!全力で楽しみやがれッ!」

ハルトの叫びと共に生徒達は一斉に出口へと走り出す。

俺達はというと……………。


「あれぇ?どうしたの?」

「だりぃな。」


「…………ぐうぐう。」


「はぁぁ…………。」


上から秋元、会長、書記アンドレオ、朗人の台詞だ。

唯一やる気を出しそうな秋元が話を聞いていないため、講堂を出ようとする人間は0だった。

副会長はいつのまにか消えていたが………。

………………意外と素早い奴だな。