どこでもdoor! | ナノ






全員の魔力検査が終わった。先程から怪しい電話をしていたホスト教師が、付いて来いと言い皆教室を出る。

そして中庭らしきところまで出てきた。中庭と言っても、一般的なグラウンドの1.5倍くらいはあった。

ステージのような所の前に、またも良く分からない文字で書かれた魔法陣があった。先程の魔法陣の何十倍の大きさだ。


「うひゃー!」

「…………すご、い。」

「これどうやって書くんだ?」

上からいつも通りの秋元、珍しく喋った書記さま、相変わらずまともな朗人くんの台詞だ。


「えーお前等にはこれから、相棒となる獣を召喚をして貰う。」

ホスト教師によると、どうやら何か使い魔を召喚するらしい。

騒ぎ出す生徒を一喝して、名乗り出る人から召喚を始めていく。

魔法陣に手をつき、魔力量を計った時の要領で魔力をこめていく。すると青白い光が浮かび上がり使い魔が召喚される。

それは、大体動物のカタチで、それぞれの契約方法を提示していた。契約をきちんと交わして初めて、本物の使い魔となるそうだ。

強さだとかのレベルは様々で、その人の素質によって変わってくる。また、上のレベルの使い魔になってくると人間と同じようにそれぞれの属性を持っているそうだ。さらに上のレベルの使い魔は、人型になる事ができ、人間と意思疎通が出来る。また、場合によっては言葉を喋る事も出来る。

「ふっふっふっふー」

何やら怪しい笑い声を出す秋元。ナニかを企んでいるというか、妄想しているのは分かるが、面倒なので放置。

俺達が他人のふりをしている事にも気づかず、秋元は魔法陣に走って行った。

「ナニがデルかな、ナニがデルかな?」

どこかで聞いたことのある歌?掛け声?を口ずさむ秋元の番が遂に回ってきた。一度手前で手を叩き、それから魔法陣に勢い良く手をつく。決して決められた動きなどではない。

「………れ、錬成しただ……と。」

という呟きは書記からのもので、目を疑った。

まさか書記さまがそちら側の人間だったとは…………。そちら側とは勿論、秋元側という奴だ。死んでもなりたくないね。


青白く光る筈の魔法陣は、緑に近い色に光った。そして白い煙りのようなものが出てきたと思えば、そのまま包み込むようにして秋元が消えた。

なんというイリュージョン!

「………秋元もなかなかやるようになったな。」

俺がうむうむと感心していれば、後ろからハリセンならぬ、朗人くんのツッコミが飛んできた。

「んなこと言ってる場合かよ。」

呆れ顔の朗人くんは、あんな秋元を心配しているようだ。なんていい奴なんだろう。なんてことは思わなかった。何故なら後頭部が爆発しそうだからだ。

さすが不良だ。死因がツッコミで頭が割れ、出血多量とか絶対に遠慮したい。多大な被害を受けた俺にも気づかない朗人くん。

「おい、聞いてんのか?」

再び俺に声をかける朗人くん。

顔を背け、思いっきり悪人面でわざとらしく舌打ちすれば、朗人くんがびくっとなった。

想像以上に面白い反応だったので許してやろう。俺って優しい。

朗人くんが再び呆れ顔になったのには気づかないふりをした。