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次々と他の生徒達が石をかざして行く。石は属性の色に変化するだけでなく、それと同時に元の大きさに戻っていく。ホスト教師によると、記念に貰っても良いとのことだった。

テンション上がってキターッ!と、秋元が五月蝿いので、さっさとやらせようと前に突き飛ばす。案の定、今石をかざそうとしている生徒を押しのけて自分の石をかざす秋元。

すると一瞬、緑に光り、このクラスの中でも少し大きめだった秋元の石が元の大きさに縮む。

「いえいえーい!」

秋元が叫びながら、俺の元に帰宅。石を見せろと言えば、あれ?どこやったけ?と言いながら自分の体を弄る。

「あ、あったあった。」

ズボンのポケットから石を取り出す秋元。取り出された石は、緑も入ってはいるが何故か緑では無かった。

「………なんだ、これ?」

青と黄色に分かれた石。ちょうど色が分かれるラインが緑になっていた。

「これぞ、人類の神秘!」

何か違う事を言っている秋元はさておき、ホストに視線を送る。

ホスト教師は驚いたようだったが、すぐに口角をあげる。そして「クラスマッチ、もしかすると勝てるかもなァ」と悪人面で呟いた。賭けがどうたらとボソボソ言っていたが、聞こえないふりをしておいてやった。

俺は神様から説明を受けた、特殊能力的なものを使おうとチートを発動する。

瞳の色が赤く染まる。秋元が叫んだのを殴りつけ黙らせる。石を観察すると、頭の中に直接知識が流れ込んでくる。これは神様の持っている知識らしく大体のことは分かると言っていた。

すぐに瞳を戻す。

「ゆうへい?」

秋元が俺の瞳を覗き込んでくる。石の説明をしようと、顔をあげる。

「たぶんそれは、水と雷の多属性らしい。」

「多属性って………。」

前にいる朗人くんが秋元をじろじろと見て、これがか?という顔をする。書記と会長もえぇぇぇ?という感じの顔をした。といっても書記は表情が乏しいし喋らないし、会長は馬鹿にした感じだったのだが。

そして当の本人は散々はしゃいだ後、雷で痺れてみないかとか喚いていた。

ので、放置。

「もうすぐ、俺の番だな。」

会長が珍しく緊張したように呟く。こっちに来てから、会長の俺様ぶりをあまり見ていない気がする。あれぇ?と思っていると会長の番が回ってきていた。

会長が石をかざすと、なんの光を発することもなく石は縮み黒く染まる。

「は?」

会長の低い声が上がるが、もしやと思って会長を呼ぶ。

他の生徒達に見えないように再びチート発動。

石を観察すれば、予想通り。会長の属性は闇であった。

会長は俺の目を見て驚いたが、無愛想にもありがとなと小さな声で言った。秋元は、まあ予想通りはぁはぁとしていた。