朝食の食器を片付けてから、パジャマでもあるジャージのまま家を出る。
ハヤが帰らないのならば、俺はハヤに暴力をふるわれる為に家に居る必要は無い。
ハヤよりも滅多に帰ってこない2番目の兄貴と、地方に出張で2週間は帰らないと言っていた父親の為に家の鍵は開けておく。
外に出て、ポケットの中の携帯からトモダチに電話をする。
すぐにやってきたバイクとトモダチと溜まり場に向かう。
ハヤが族だとかいわれる不良集団のトップになった時に、それを潰す為につくったチームの溜まり場。
今ではライバルチームだとかいわれているらしい。でも、俺が顔を出すのは今日がはじめて。何故なら昼間はいつもハヤがいるから。
夜は基本的に行動しない俺は、1日を睡眠と食事とハヤから受ける暴力で過ごす。
トモダチは電話で俺が行くと言えば、愉しそうに笑った。
たぶん俺が上機嫌で不機嫌なことに気づいたからだろう。
ハヤが帰らないのは、ハヤのチームのメンバーが闇討ちにあっているから。そして闇討ちしているのは俺の作ったチームの一部のメンバー。
一週間前からだ。ハヤが帰らなくなると分かっていたのは。ハヤが仲間の為に俺のところに帰らないことがたまらなく楽しい。
潰しがいがあるから。
そしてハヤが俺のところに帰ってこないのが、たまらなくむかつく。
トモダチが笑った。
「…………楽しそうだなァ。」
つられたように笑いながら、聞く。
「そりゃあ、ね。」
にやけた顔を隠す気も無いトモダチが呟く。
と、そういえば。
「まだ、決めてねーなァ……。」
ハヤのチームを潰すか、闇討ちをしている連中を潰すか。
「鉛筆でも転がして決めればー。」
また、トモダチがケラケラと笑う。
んなモノ、不登校児が持ってるかよと思った。