‥07 | ナノ

 部屋の中、溢れ返る荷物と段ボールの山。荷物が少ない方ではあるが未配置だからか多く感じる。仁王の提案でまずは箪笥やベッド、机に本棚といった二人掛かりでやっと運べるものの作業に挑む。最悪今日はこれだけちゃんとしてればいいし、本音は明日から学校もバイトもあるので今日中に済ませたいのだが。



「疲れた…」
「力がないのう」
「俺は運動してないから」
「ま、ちょっと休憩するかの」

 ベッドにうつ伏せになって倒れ込むと、ベッドの軋む音の次に持ち上がる身体。そのまま隅にやられるように移動させられて、仁王も隣に寝転がったのがわかった。



「…一緒に寝る必要ないんじゃないの?」
「ベッドがあってお前さんが寝とったら俺も寝たくなるぜよ」
「狭いのに…」
「我慢じゃ」


 シングルベッドに男2人はなかなかキツイ。それが中学生といえど、仁王は身長が俺よりも高いし。まあ今は休めれば何でもいいか、目を瞑って休憩に入る。…このまま寝ちゃいそう。




「もういいのか?」
「あんまり長いとそのまま寝ちゃいそう。ちょっとごめん」
「ん、」

 後は本とか洋服とか雑貨とかそういうものばかりなので1人でも充分だ。仁王の身体を跨いでベッドを降りると、仁王はまた寝転がった。うつ伏せでも仰向けでもなく荷物を整理する俺を眺めるように。



「…あんまり見られるとやりにくいんだけど」
「気にせんでよか。見守ってるだけじゃ」
「ていうかもう自分の部屋帰れば?」
「冷たいのう。手伝ってやったのに」


 俺が言いたかったのはもう時間も遅いし早く風呂にでも入って寝たら? ということだったのだが、そんなことを言われれば俺は返す言葉がない。溜め息をついた後、好きにすれば? と見やれば仁王は笑っていた。…わざとか?




「明日はどうするんじゃ?」
「職員室行ってから教室に行くみたいだから急ぎはしないけど」
「いいのう。俺は朝練じゃ」
「…だったら早く寝た方がいいんじゃないの? 風呂にも入るだろうし」
「朝からシャワー浴びるから大丈夫ぜよ」


 ああ言えばこう言う。あくまで手は止めずに会話していると、もともと少なかった荷物はすっかりおさまっていた。それを確認すると、どれ、と仁王は起き上がった。



「俺の部屋は隣じゃから、何かあったら来んしゃい」
「ああ、ありがと」
「…どういたしまして。おやすみ」

 くしゃりと俺の髪を軽く掻き回して仁王は出て行った。俺もやることがなくなったので風呂に入らせてもらう。とっとと済ませ乱暴にタオルドライをした後、ドライヤーで一気に乾かす。早く寝たい。歯磨きを不自然ではない程度に適当に済ませて部屋に戻った。



「…おやすみ、また明日」

 明日のために用意した制服と道具を確認して、俺はやっとのことで眠りについた。





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