堕落した明司へ思いを馳せてみる


本誌230話に大衝撃を受けました羽生です。
読んだ後に頭を抱えるというのを身をもって経験しました。

あれだけ「真」「シン」って言っておきながら、幼馴染で総長と仰いだ人が突然の死を迎えたっていうのに「金の工面でそれどころじゃなかった」って……。金>真って……。

ほんとに眠れないくらいショックだったんです。だけど、一夜明けて「初代黒龍の副総長だったんだから真一郎との深い絆があるんだろう」とか「軍神というから物凄い人なんだろう」と期待していたわたしも、初代黒龍解散後に明司をよいしょし続けたモブと同じ思考ってことなんですよね。ってことに気づきました。

真一郎が亡くなったときの初代黒龍の動向がずっと気になっていました。それこそ特に明司。それがあの回想のたった一行に納められているのがショックだったけれど、それだけ如何に明司が初代黒龍の威光に縋っていたかがわかります。
最初は真一郎を仰いでついていったけれど、いつしか上り詰めた場所の居心地の良さに、真一郎ではなく軍神の自分に酔っちゃったんだなって。

過去の栄光に縋るのは人として当然のことですよね。突然切り替えられるものではないです。
むしろ、ジム開いてるワカとベンケイが真っ当すぎて逆にびっくりしました。幼馴染で真一郎とずっと一緒だった明司よりも、ベンケイやワカの方が真一郎のやりたかったこと・目指していたものを本当に理解していたんでしょうね。男らしと思うけど、謎めいていた初代黒龍副総長が人間くさいことにもなんだか安心してしまいました。

いや、ショックすぎてこの先お話書けるかなレベルのショックだったんですけど、明司の取り扱い方もわかって、今は心が落ち着いてます(笑)

逆に同じ副総長でもドラケンがいかに人としてできていたかがわかりますね。
その対比もあったのかな。佐野兄弟は、二人とも日本一になったチームを引っ張ったけど、傍に置いた副総長がこれほどに違うって。

だけど、真一郎に傍に置いてもらって、あれだけ堕落した最低な屑な生活を10年過ごしていたのに千咒やベンケイやワカにまたナンバー2の椅子に座らせてもらって。周りにそうやって担がれるだけの、明司武臣という人にも、なにか魅力はあるのだと思っています。
明司の采配ですべてが決まると言われていたなら、噂になるほどの何かを複数回やった成績を出したのだろうし。

230話の明司に関しては、SNSでいろんな意見を見て心を落ち着けた部分もあるので、わたしの気持ちがどなた様かの考えに役立つならばと吐き出した次第です。

春千夜へ思いを馳せてみる


ムーチョを東京湾にアンダーザシーした春千夜。あまりの豹変ぶりに当時驚きました。
うそやんって言ったもん。多分、本誌見ながら言ったのは、この時と「金の工面でそれどころじゃなかった」くらいです。明司兄弟に心スイングされまくってますね。

「オレ一人っ子だから隊長みたいな兄貴がほしかった」あの時からムーチョを欺いてたんかって当時思っていたのですが、今じゃこれもたいぶ心象変わりますよね。
時系列から言って、初代黒龍解散は2006年。春千夜はまだ小学生だとして、堕落していく兄貴や家に取り立てにくるヤに、人格を形成する上で大切な時期にこれだけの経験をしていれば、兄への尊敬はもちろんなく、相当な恨みを持っていてもおかしくはないです。
その上で男気溢れるムーチョに「隊長みたいな兄貴がほしかった」というのも、本心だったのではないかなと思います。
梵天の春千夜見てると、頭使うタイプにも見えないし(失礼)。
むしろ、兄のせいで過酷な経験をしていたなら、その記憶を消すために「兄弟はいない」と思い込む心の防衛機構にも思えます。

どうしよう。ここにきて春千夜がただのヤク中から、とんでもない苦労人に見えてきて掌くるんくるんです。

初登場の頃から、マイキーにため口きいてて、傷だらけの野良猫みたいな謎めいたキャラだとは思っていましたが、長男が幼馴染、次男・末っ子も同年代、子どもだけでジャングルジムで遊んでるから家も絶対ご近所だったろうし、明司家と佐野家の交流があったとするのが自然なのかな。
でも、交流があったとしても初代黒龍解散前までかな。今後、春千夜の回想とかでマイキーとの出会いも出てきそうですね。

兄のせいで苦労して、そんなところをマイキーに目にかけてもらっていたとしたら、春千夜の異常なマイキー崇拝は子どもの時の経験から養われていたのかもしれない。王の威を借るだけだった兄のようにはならないと思っているのかな。

多くのキャラが割と普通な名前に対して、三途春千夜って突然フィクションっぽい名前のキャラ出てきたなって違和感だったんですよね。偽名なのも納得。
というか、なんで二人だけ偽名で明司は本名(かは不明ですがそれっぽい)なのかなと思っていたのですが、そうだよね。家に帰ってこない兄貴がいるから、下二人で寂しく遊んでるしかなかったんだよね。その遊びの中で考えたのかな。

てか、敵キャラの長男勢が総じて下の兄弟に苦労させ過ぎてて……。真一郎とナホヤと三ツ谷を見習え。

千咒へ思いを馳せてみる


JKを担ぐアラサーの図は、正直きついし、初代黒龍たちは何をしてるんだ……って思っていたのですが。
梵結成のいきさつを見て、納得。初代黒龍が解散したから作ったってわけでもなかったんか。

チームを持ちたい千咒に乗っかったワカとベンケイは、ジムでの彼女を知っていたから、本来の強さを知っていたんでしょうね。ワカの「オレは千咒に従う」みたいなセリフも、「千咒の夢を叶えたい」とも受けとれるんですよね。
武臣の回想じゃ家にもあまり帰ってない感じだし、幼い千咒の面倒見たのがベンケイやワカだったとしたら、彼らが彼女の夢を叶えたいと思うのも当然なのかな。
むしろ、一度足を洗った世界に飛び込むのは、相当なことだっただろうし、真一郎への後ろめたさもあったんだろうか。
千咒が強いから協力したのもあるかもしれないけれど、それだけじゃない親心みたいなものもあったのかな。

千咒の「責任はジブンにある」と言ったのは、兄を許したようで、彼は責任を取るだけの器にないと、優しく見限ったともとれる。
二人の兄が圧倒的ナンバー2なのに対して、明司家から初めて出てきた頂点の存在。
梵天軸の未来に彼女はいないし、正史ではどうなっていたんでしょう。ベンケイ・ワカともども消されちゃってたのかな。

なんにせよ、タイトルがGet stuck-up=図に乗る・高慢ちき、というのも納得な明司の過去編でしたね。
どうでもいいけど、長編かどこかで真一郎の死の時の描写で「お前が無事でよかったって真も思ってるよ」みたいなこと書いた記憶があるのですが、本誌の情報からいけば、明司は金の工面でそれどころじゃなかったのでそんなこと思う暇もなかったってことですよね(引きずるな)。
心が落ち着いた後にわたしはその心配をしたのですが、どこで書いたか思い出せず、恐らくストーリー的にも修正は不可能なので、Top of the worldの注意書きを追加してこのままでいこうと 思います。


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