レオン(現代)

一緒に暮らし出して、3年と少し。たぶん、世間で言う付き合ってるっていう関係で、でも警察官とフリーターじゃ、朝起きるのも飯食うのも帰るのも寝るときだって違う。一緒にいれる時間は限られてて、その貴重な時間を俺たちは抱き合うことで埋める。非生産的なこの行為は俺たちが蓄えたおじゃまたくしをゴミ箱に放すばっかりで、距離を埋めるには足りなかった。

「映画、借りてきた」

 久しぶりに顔を合わせたと思ったら、土方は急に映画観るぞって、テレビの下をごちゃごちゃいじりはじめた。同じ家に住んでるはずなのに、8日ぶりに見る土方はなんか疲れてて、でもなんか一生懸命で可愛かった。だから俺は今から寝るつもりだったけどやめて、土方の隣に座った。

「何の映画?」
「昔の映画」

 こうやって二人で並んで座るのも久しぶりで、なんか緊張した。後ろにもたれて土方の横顔を盗み見て、ちょっとだけときめいたりした。

「二人でこうやっていてんの久しぶりな」
「‥わるかったな」
「え?」
「忙しくて、あんま家帰ってなかったし」

 だらだら続いてきた、付き合ってるともいえないような関係を土方は意外と真剣に考えてくれてたらしい。なんとなく凄く嬉しかった。けど、そんなの正直には言えないのが俺で。

「何、土方くん寂しかった?」
「そんなんじゃねーけど」

 その日見た映画はちょっと切なくて、女の子が可愛かったくらいしか覚えていない。あと、二人が仲良くなれるぶたのミトン。


 それから俺たちはまたお互い忙しくなってすれ違いが多くなった。それと同時に喧嘩も多くなって、俺も土方もいらいらばっかりが増えてって、そんで俺が先にだめになった。なんでこんな風になったのかとか、どうやって仲直りするかとか、これから先のこととか、考えたけどもうめんどくさくなって、全部やめた。もし別れるならそれはそれで土方の為になるしいっか、なんて考えてた。俺は寂しがり屋で、意気地無しだった。

 真夜中、俺が帰るといつも通り部屋の中は真っ暗で静か過ぎて、俺はまた切なくなった。どうにもならないこの感情に嫌気がさして、机に突っ伏した。
 そのまま眠ってた俺は肩の違和感で目が覚めた。
「お前の肩には何がいるでしょう?」
振り返った先の土方の右手に、ぶたのミトン。溢れかえる愛しさが抑えきれなくて、俺は土方をぶたごと抱きしめた。




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