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「抵抗したら大変だぜ?」

「おとなしく殴られやがれ!!」

「――っ!!」


本来なら、コイツ等を今すぐにでもボコボコにしてやって帰る所なんだけど…。

 今は状況が違う。
殴られた頬が痛む。


「…もし抵抗したらなに?」

「またいやーな噂がたつぜ」

「…なーんだ。それならいいや」

「何!?…ぶぼ!?」


それを聞いた私は容赦なくトラを蹴り飛ばした。

 他の生徒に被害が行かないなら別に構わない。自分じゃない誰かが傷つく事も…嫌な罪悪感を、抱くことがないから。

もう一人の奴も思い切り殴って気絶させてやった。
 よし、コレで少しはスッキリした。

早くかーえろ。もう夕方なんだし。










玄関のドアを静かに開けて中に入り、靴を脱いで一息吐くと頬とお腹の痛みが戻ってきた。

 あのトラ…めっさお腹痛いんですけど。
コレ痣になってるかも…最悪。


「いってー…」

「沙良?」


ゲ。

兄さん…いたんですか…。
 鍵開いてるから当然だけどさ。
この傷見られたらややこしくなっちゃうじゃん。

リビングから顔を出した兄さんは、こちらを向いて驚きに目を見開き駆け寄って来た。


「お前、どうしたんだよその傷!?」

「あー…えーと…」

「ったく。この馬鹿娘が」

「わっ!」


馬鹿ってなんだ馬鹿って!!