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誰かと思えば、咥えタバコに天パ、死んだ魚の目をした我等が担任、坂田銀八。
コイツ、普段はやる気なさそうにしてるくせに変な所で鋭いんだよね…。
もし銀八に今の状況がバレたら厄介だ。
「そろそろチャイム鳴んぞ」
「え゙!?もうそんな時間!?」
「そ」
「んじゃ、そろそろ屋上行こー」
「何で屋上?今の会話の流れで何で屋上?というか、昨日サボっただろ沙良ー」
「珍しくないよ」
「平然というなよ。先生寂しかったぞー?」
「兎ですかアンタ」
「飼ってvV」
「うち兄さんがペット許してくれないんで」
「ちぇ。そりゃ残念だ」
「んじゃま、そゆコトで」
「沙良」
そそくさとそこから去ろうとしたけど、銀八に呼ばれ立ち止まって振り返る。
やっぱ見逃してくれないか銀八よ…!!
だが、銀八が言ったのはかなり予想外な一言。
「何かあったら言えよ」
「へ…?」
何かあったらって…まるで、今の状況を知ってるみたいな口振り…。
いやいや、銀八が知ってるハズない。
階段を降りて来た銀八は私の頭をグシャグシャ撫でて、そのまま通り抜けて行った。
・・・どゆコト?
銀八が何を考え、どこまで知っているのか分からず、私はただそこに突っ立っていた。
被害
(田中ァァアア!!何テメー沙良先輩に触れてんだァア!!)
(田中君のバカ!)
(沙良様に笑みを向けられるなんて…!!)
(えぇええ!!?ぼくが悪いのォオオ!?)
哀れ、田中。
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