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「一人で抱え込むんじゃねーぞ」


微笑し、私の頭をグシャグシャ撫でて言う兄さんの優しさと温かさに、涙が出そうになった。

 ダメだ。この優しさに甘えるな。

分かっているのに、突き放せない私は弱虫なのか?
この手を振り払えない私は弱者なのか?
 分からない。この優しさを振り払う方法が。

この人達を突き放す方法が。
 ストレートに行くしか、ない…。


「兄さん…頼みがあるんだ」

「頼み?」




「総悟達と一緒に、私を裏切って」




「・・・は?」


こうなったら、無理矢理にでも近藤さん側に行かせるしかない。
 くっそ…どんだけバカなんだ私…!!

コ●ン級の頭脳がほすぃ!!


「もっと分かりやすく言えば、近藤さん側に行ってほしいって事」

「お前…何言ってんだ?」


信じられない、って顔をする兄さん。

 当たり前だ。急に敵の方に行けって言われたんだから。


「自分が言ってる事分かってんのか!?」

「分かってるよ!」

「じゃあ何で…」

「アイツ等はこれから更に攻撃してくる。そん時兄さんや総悟達が傷付くのを見たくないんだ!」

「要らねェ心配だろ、そんな事」

「必要たよ。もしそうなったら…私の責任以外の何でもない。だから…頼むよ兄さん」


 総悟だったら口が上手いから近藤さんに説明するのに苦労しないだろう。

ゴメン…何度謝っても足りない。
 自分勝手な弱い奴でゴメン。
好きなだけ嫌っても憎んでもいいから。
好きなだけ殴ってもいいから。

 ただ…大切な奴等に傷付いてほしくないだけなんだ。
守れる自信がないんだ。

もっと、強くなってみせるよ、だから……。


「ゴメン」




その「ゴメン」は、何に対して?





決別
(たとえ敵のチームに入っても)
(俺はお前を信じてる)
(だから泣くな)
(沙良)




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