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見上げたままっていうのも若干辛い状態なので、私も梯子を伝って上った。
 あのままでいたら首が痛くなっちゃうからね。


「あ、因みに私土方沙良。ちゃんと覚えろよ」

「何で学ランなんだよ」

「何か分からんけど学ラン」

「まな板だから違和感ねーな」

「誰がまな板だ鬼太郎」

「誰が鬼太郎だまな板」


何で会って数分の奴にまな板とか言われなきゃいけないのさ私。


「なぁ高杉ー。何で教室来ないの?」

「面倒臭ェから」

「来いよ教室。今なら150円あげちゃうゾ☆」

「キモいいらない黙れ」

「おい泣くぞコノヤロー」

「大体、俺が教室に行こうが行かなかろうが、お前に関係ねぇだろ」

「そりゃま、そーかも知れないけど…」


 そう言われたら、なんて言い返せば分からなくなるじゃん。

でも、あまり悪い奴に思えないんだよね高杉って。


「何かさぁ、お前といたら楽しそうだから」

「は?」

「今までにないタイプだし、不良だけど悪い奴に見えないし」


 ニッと笑ったら高杉は馬鹿じゃねぇのって感じの表情を浮かべた。

あ、ちょっと傷ついた。


「お前、変な奴」

「失礼な」

「俺が怖くねーのか?」

「……普通?」

「何で疑問系なんだよ」

「アッハッハ。別に怖くはねーよ」

「…馬鹿じゃねーの」

「馬鹿っていう方が馬鹿なんだよ」


 ふいっと顔を背ける高杉。

何この子。ちょっと扱い辛いタイプかも。