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高校に入って、それなりに月日が経ち高校生活にも慣れてきた頃。

 私は中学からの憧れだった屋上に、授業を抜け出して行った。



「おぉー。屋上って感じ〜」


初めて来た屋上に感動しながら、広がる青い空を見渡す。
 初めて来た日が快晴って良いねぇ〜。

そんな風に背伸びをしながら屋上から見える風景を堪能していた時、頭上から低い声が聞こえてきた。


「誰だテメェ」

「むお?」


給水タンクがある場所、というかただ上を見上げれば頬杖をついた男がこちらを見下ろしていた。

 眼帯をしていて瞳孔が開き気味な目付きが悪い男は、いかにも不良って感じだ。
でも、キレーな顔しているなぁってぼんやり思う。


「そっちこそ」

「…お前、一年か」

「そーですけど。そっちは?まさか先輩?」


 片目の男を見上げたまま問い掛ければ、男は表情を変える事なく「同じ一年だ」って答えた。

あ。そーいやたしか、うちのクラスにあまり教室に来てない生徒がいたなー。
 えーっと…名前は〜……。

高杉、なんちゃら…だっけ?


「ねー。君もしかして高杉って名前ー?」

「あ?だとしたらなんだよ」

「うちのクラスにさー、高杉っちゅー奴がいて一度も見た事ないんだよね」

「…お前何組?」

「Z組」

「…同じかよ」

「あ。じゃあやっぱり君が高杉なんだ」


 やはり不良だったのか高杉って…。

サボってばかりだから、きっとそうなんだろうなって思っていたけど…本当だったなんて…。