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一つ息を吐き出して、トラに向き直る。


「という事なんで、さっさと本題に入ってくれませんかね?」

「……ゲームをしないか?」

「ゲーム?」


言葉の意味が分からず、眉を寄せて聞き返すと、トラは笑みを浮かべて話した。


「お前がいつまで生きれるのか、賭をしないかって事だ」

「どーゆー意味だ」

「今日、学校に行って何もなかったか?」

「まさか、あの噂流したの…」

「そう。こちらで細工してね。近藤の耳にそう入るようにしたのさ」

「ふーん…」

「あの単純なゴリラだ。あっさり噂を信じただろう?」


 その言葉を聞いた途端、気がつけば私はトラの胸倉を掴んでいた。

一瞬の事に驚くトラの口から、咥えていた煙草が地面に落ちる。


「あの人を侮辱するな。あの人はただ素直で真っ直ぐな人なんだ。あの人をゴリラなんて言っていいのは私達だけなんだよ」


 さっき、そのゴリラに話を聞いてもらえず思い切り殴られたけどこの時は、そんな事どうでも良かった。

ただ、こんなトラにうちの大将を侮辱されたのがムカついた。
 何も言い返せずあんぐり口を開けているトラから手を放し、話の続きを促す。


「具体的に言えば、どーゆーコト?」

「ただ君は普通に過ごしてくれればいい」

「…?」

「まぁ、無理だと思うが」

「焦れったいな。ストレートに言え、ストレートに」

「近藤達を敵に回したまま過ごせということさ」

「はぁ?」

「今朝、近藤に殴られたらしいじゃないか。他の奴等にも嫌われたらしいし」