3




兄さんの隣りまで進んで立ち止まり、腕組みしているゴリ…ゴリラに顔を向けた(言い直した意味なくね?


「近藤さん。近藤さんが私を信じるか噂を信じるかはアンタの自由です。私には止める権利も何もない。ただ…」

「ただ、何だ?」





「その選択肢を選んで、後悔しないで下さい」






ただ、それだけが条件。
 自分でその道を選んだ事に対して後悔しないで欲しいから。


「兄さんも、同じだよ。どっちを信じようと勝手」

「…ガキが生意気言ってんじゃねーよ」


 グシャグシャと少し乱暴に兄さんは私の頭を撫でながら言った。


「テメーの妹信じらんねぇ、なんて兄貴として失格だからな」


 そう言って、小さく微笑んだ兄さんの言葉は少し意外に感じた。


「いつまでも沙良に触ってるんじゃねェやい土方コノヤロー」

「総悟」

「てめぇ…」


手を払い、間に入ってきた総悟を兄さんが不機嫌そうに睨む。
 いやいや、こんな時に喧嘩しなくていいからね君達。

今はシリアスパートだっていう事を忘れないでね?


「すまないねィ近藤さん。俺ァこの馬鹿を信じまさァ」

「総悟!?」

「マジでか」

「マジでさァ。沙良にそんな度胸がある訳ねェ」

「アレ?私けなされてる?」

「山崎。お前はどうなんだ?」

「決まってるじゃないですか」


後ろにいるザキに兄さんが問い掛ければ、彼は笑みを浮かべて答えた。

 馬鹿ばっかだよ…ホント…。
後悔するなよ、って言ってやりたいくらいだ。
でも、本音を言って嬉しい。

だから、敢えて何も言わないでおいた。


「ま、そーゆー事だ。近藤さん」

「…そうか。だが、いくらお前等が敵だからと言っても容赦はしないぞ」

「当たり前だ」


完全に、二つに分かれた瞬間だった。

 こんな事になってしまうなんて、誰が予想しただろうか……。


こうなってしまったのは、私が原因なんだって思ったら、胸がチクリと痛んだ。







崩壊
(沙良に喧嘩を売る度胸なんてないでさァ)
(まだそのネタ引きずってんの!?)
(チキンだからな)
(オィイイ!!せっかくのシリアスが台無しじゃねーか!!!)
(沙良ちゃんドンマイ…!!)