１WDC決勝の噂を聞いた
「えっ、うっそ！それホント？うわー、うわー、凌牙様すげー！俺呑気に学校いってる場合じゃなくね、ちょっくら抜けてくる。 んん？抜ける理由繕っといてくれんの。ありがとー」
「凌牙様ー」
「！？……今までにないとんでもねぇ呼び方だな、鳥肌たった」
「だってウチの学校の女子が凌牙様って」
「お前の中の呼び方にソレは当て嵌まるのか」
「いや、ねーな。凌牙は崇められるようなキャラじゃないね。もっとこう……酷い目に合いそう？な……いって！」
「貶してんじゃねぇよ」
「まさかのドメスティックバイオレン…いだだだ！止めて髪引っ張らないで禿げたくないっ」
「意味も理解してない言葉を使うな！……チッ。で、お前学校どうしたんだよ」
「あ、抜けてきました。大丈夫大丈夫、クラスの女の子が抜ける理由適当に繕っておいてくれるってからお言葉に甘えて」
「甘えんなバカ」
「ひひ、甘えんのも大切だよ。それよりさ、決勝進出おめでとう！つか、神代くんなら予選楽勝だったよな。おめーおめー」
「……。お前は…どうだったんだ？一応出てただろ、俺見たぞパーカー着たテンションの高いデュエリスト」
「え、見てた癖に知りたいの…」
「ちらっと見ただけだ。いいから言えよ」
「まあ、なんとかギリギリで…あ、でも多分一回戦で敗退しそう…今から緊張で腹痛おこすし」
「ああ…お前公式戦苦手か」
「あの勝ち上がってやる、って雰囲気苦手なんだよな。…あっそうそう、俺そろそろ戻るけどさ、最初に言ってた言葉…強ち間違いじゃないって思ってるから」
「あ？どれだ馬鹿」
「酷い目に合いそうって奴だアホ。俺また来るけど、本気で気を付けろよ。大切な俺の友達が苦しむとかシャレになんないわ」
「……ああ」
「ん、じゃあな」
「事故んなよ」
「俺が事故るのは手札だけだよ」
２パーティー会場
「なにこの雰囲気…嫌ぁ…。凌牙どこ…え、もしや外？――まあいいやちょっと観察してから出よ」
「あ、凌牙が言ってた九十九くんだ。あの子も決勝進出かーすんげ」
「……W ノーコメンツ…ってあれ、どこ行く極東チャンピオン」
「ん？目付きが鋭いイケメン…あんな子いたっけ？お、目が合ったー。俺がいない場所で対戦してたのかな、凌牙に訊いておこう」
トロン登場後
「なにあのここわい」
「りょ、りょうがー！今どこ？えっ帰る！？待って俺も乗せてって…！」
『なにそんな怯えてんだ』
「一番怖いモノって人間だって分かったからだっての！」
『意味分かんねぇ。はあ。…早く出てこい置いてくぜ』
「神代くんありがとー、今向かうわ」
３帰る
「こわかった、すんごくこわかった…」
「だから何がだよ」
「……。いや、も、色々ね。あ！そういや九十九くんいたよ。いやぁ、あの子肝が据わってるわ、俺なんか会場に居ただけで胃が痛いっての。あとさ、金髪のイケメンくんもいたんよー俺初見だったんだけど凌牙知ってる？黒いロングコート着てー…っのわ！どした、凌牙？」
「そいつ、」
「？九十九くん？」
「違う、金髪の奴だ。ソイツと何か話したか」
「いや。遠目に見ただけだけど…どした？」
「お前、好奇心旺盛だから先に忠告しておく。ソイツとWには近付くな」
「……ふぅん。危険なんだ？」
「ああ……」
「分かった。関わらないよ。あ、じゃあついでに俺からも忠告！」
「忠告言うのにやけにテンション高いな」
「別にいいじゃんか。で、忠告は――あんまり無理しすぎんなよ。以上」
「……馬鹿じゃねぇの」
「ははん！うっせ」