やまなしおちなし/女体化凌牙





「うぁっ、やめ、ろ!」

「無理だ」

ベッドに沈めた凌牙の焦った声をカイトはぴしゃりと跳ね退ける。真剣な目付きで三文字を紡ぐと、瑞々しい彼女の唇がふるりとわななき、僅かに開いた。

「なっ、ん!、ふ、あ……ぅ」

その瞬間を狙ったようにカイトがそこを己の唇で塞いでしまえば、凌牙は驚き眉根を寄せていやいやとカイトの胸を押し返し弱々しい抵抗をしてくる。しかし、舌で彼女の口腔を焦らす口付けを繰り返していると、段々と抵抗がなくなり控えめにも凌牙から舌先を差し出してきた。
ゆるりと目を細め、カイトは満足げに菖蒲色の髪を撫でる。

幾度も深く浅くと繰り返した口付けで艶めかしく唾液で濡れた凌牙の口元を一食みし、舐めてやると髪色よりも青い瞳は溶けた硝子のように惚けていた。

「は、 カイト……」

ぽってりと熱を持つ口元が甘える声で呼ぶものだから、凌牙の腕を捕らえていた両手は無意識に彼女の服に手を掛ける。ブラウスの牡丹をさっさと外してしまえば、日に焼けていない白くしっとりとした肌が視界に映る。

「今日はピンクか」

「ん、……気に食わないのかよ」

「いいや、好きだが。それよりもカップのサイズ合ってないぞ。胸がきつそうだ」

ブラジャーの布地からはみ出す部分に赤く跡を残しつつ、ふくよかな胸部の膨らみを下着越しに触れる。ひあっ、と快感を拾う声が彼女から零れ、カイトの体温も上がっていく。

「っ、お前の所為じゃねぇか……!」

「成程、俺が育て上げているのも主な原因なんだな」

「嬉しそうに笑うなよ……あッ!?」

肩に掛かる紐を下ろし、さてどうしてやろうかときめの細かい肌を撫で更に快楽へ落とす手順を考える。
そろりとシーツと凌牙との間へ腕を潜り込ませ、胸を支えていたホックを軽々と外してしまう。

「腕、下げていろ。取れない」

「あ、ああ」

途端に圧迫していた感覚が消え、骨張ったカイトの手が胸を覆っていた布地を取り去ってしまった。たゆんとこぼれ落ちた果実に、灰色の双眸が肉食獣宜しく爛々と欲情を湛えており、凌牙はとうとう羞恥に堪え切れなくなり目をきつく瞑る。
果実を甘噛みし丹念に味わって、耳が可愛らしい凌牙の詳らかに声を拾う。

「――っ!く、んっ、カイト、かい、とぉ……っ」

片方に掌が這い動く感触と、もう片方に生々しい舌と唇の熱さ。どちらの愛撫も凌牙の嬌声に変わりとめどなく口から溢れて音になっていく。
訳もわからなくなりそうな中で、恋人の名を何度も呼ぶ、凌牙の精一杯の強請る行動をするとカイトが微かに笑った気がした。




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やまもおちもないです
0801
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