手首をアンカーの拘束を取られてしまうと、凌牙は流されるままにVに手を引かれ見知らぬ部屋の一室に引き込まれる。
何処だ、と訊けば僕の部屋だよと答えられ、前触れも無しに広いベッドへ背を押された。とん、と身体が押し出されたかと思えば凌牙は柔らかいベッドへ沈められる。

「なにしやがる……!」

振り向いた凌牙に何も答えずVは彼の腕を掴み、するりと仰向けの体勢にしてシーツの上に縫い付けてしまう。
両手を凌牙の掌と絡め、彼の上に跨ってしまえば凌牙はあからさまに狼狽えた。

ふるり、と藍色の瞳孔が震える。重なった掌が熱く感じる。

「――。何だか凄く煽られている気分だ」

「っ、んう、あっ」

Vネックの部分から晒け出された首元をつぅーっとなぞるように頸動脈付近から鎖骨へ舌を這わせる。温い温度がゆっくり肌を湿らす、とても意地が悪い動き。
Vの舌使いにひくん、と思わず凌牙の腰が跳ねた。
そんな事をされたからだろう、顔を赤らめ今にも泣きそうな表情になった凌牙へ胸が騒つく。

「また、そうやって君は僕を物欲しそうに見てくるんだから」

「違っ……!」

「違わない」

「あぅ、ふ、く…… いや、だ……ッ止めろっ」

「凌牙は、うそつきだね」

うそつき、まだ足りない癖に、と言い聞かせるように紡ぐと、Vは思うままに紅い跡を付ける行為から流動的な動きで凌牙の口を塞いだ。

舌を絡め、口付けを深くしながら口腔を好き勝手に舐め、じくじくと焦らせば凌牙が上ずった嬌声を漏らす。その声が足りないと言っている気がして、散々口付けで虐めた後、Vは手早く彼のベルトのバックルを外し下に纏っていた物を全て脱がせてしまった。

「す、りぃ……」

「ふふ、あはっ 躯も心も素直になって……凌牙、僕に溺れてしまったの?」

「う、るせ……早くしろ、よ」

「うん」

凌牙が甘える声。Vは口元だけがゆるりと弧を描いた表情でこくりと頷く。
既に反応している凌牙の欲をくちりくちり、と扱いてしまえば、彼が喉を反らせて良がる。両腕で必死に自分自身の顔を隠そうとする様にひどくそそられる。

「ひ、あ――は、っうぅ」

「っ、気持ち良い?」

「くっ、やあっ す、りい……ッ!」

ふるふると頭を振る凌牙がいじらしい。限界が近いのか、息も理性も荒くなっている。
Vの背に腕をまわし服をきゅう、と掴まれるとうわ言ようにVを呼ぶ。

凌牙の痴態に堪らなくなり、小さく笑い名を呼ぶ彼の耳殻を柔らかく食むと、生白い脚が跳ね、ぱたた、とVの掌に白い粘液を零した。

「……は、あ、うそだ……っ」

他人の手で達したなど、凌牙からしてみたら屈辱的だろう。微かに焦点が振れている眸が、困惑でVを見上げていた。

「……っ」

「、V? う、あ!?」

嘘ではないと指摘できる程の理性は、生憎だがVには無かった。どうしようもなく、躯中が火照っていた。
凌牙の声を聞いたからだろうか?痴態を見てしまったからだろうか。きっとその両方だろう。
再び中心を白濁ごと握り込まれ、凌牙は熱がぶり返す。

「もう、君って強請るの上手なんだから困るんだよ」

とろりと欲を孕んだVの眸が凌牙を絡め取る。
逃がさない、そうVに言われた気がした。



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