ただ致しているだけ/おそらくお互い愛してる






凌牙の無防備な後ろ姿に無性に欲情が鎌首を擡げたので、思わず背後から掻き抱いた。藍色の髪の隙間から覗くしなやかな項へ口付けを落とし熱い吐息を吐く。
びくりと反応したきり、凌牙は何も返してこない。どうしたのかこっそり横顔を盗み見ると、眸を丸くしたまま頬は朱に彩られていた。

「凌牙。したい」

可愛いな、と思いつつ、そんな凌牙の耳元で低く囁く。ストレートに願望を唇に乗せ、耳たぶを柔らかく食めば漸くカイトっ、と切羽詰まる声で呼ばれた。

「駄目か?」

「な、急過ぎ、だっ」

「お前を見たら我慢出来なくなっただけだ。凌牙、いいだろう?優しく溶かしてやるから」

甘く強請れば、稍あって振り返った彼の眸には薄く水の膜が張りカイトを映していて。ふるりと震える凌牙の唇が了承の言葉を紡ぐまでそう時間はかからなかった。


「ん、かいと、っ」

「気持ちいいか」

「ひ! うあっ……ンっ」

覆い被さり、凌牙にキスを何回も何回も降らせればトロンとして、段々と躯をカイトへ預けてしまう。快感に反応している其処をゆるりと握ってやれば、赤らむ内股がびくりとして嬌声が上がる。凌牙がいやいやと首を振るが、それさえもカイトを欲情させる材料だった。

「気持ちがイイのなら素直に受け入れたらどうだ?強がらないでオレに全て預けてしまえ。なぁ?」

「や、かいと、かい、と……!も、っと……っ」

擦れる声が苦しげに先を欲した。普段見せない凌牙の痴態に、ぞくりとする。

「一回イっておけ」

「く、――っ」

握ったままだった凌牙自身をにちゃにちゃと扱いていくと、既に湿っていたソレは呆気なく欲を吐露した。

「は、あ……、カイト、悪い、」

「ククッ、大丈夫だ構わない」

白い濁りがカイトの掌と凌牙の腹を汚したが、困惑する凌牙を横目にカイトは気にも止めず、滑る指先を肉付きの少ない凌牙の後孔へゆっくりと一本づつ埋め込んでいく。一瞬、目を見開いた凌牙だったがこの後やってくるだろう快楽に耐えられるよう、きつくカイトにしがみ付いた。

「ローションも垂らした方がいいな」

「好、きにしろっ」

息を詰める凌牙へ愉しそうに喉をならすカイトの声が降る。とろりと足された潤滑剤にカイトと今まさに行為の最中なのだと思い知らされ、愛しいような嬉しいような恥ずかしいような、感情の渦が廻っている。

「っ、あ、ん……」

くぐもった水音がどんどん凌牙を羞恥の色に染めていきまた余裕がなくなってきた頃、漸く後ろを弄っていたカイトの指が引かれた。

はっ、と見上げた凌牙の目に映るのは酷く余裕の無い双眸。欲に艶付いた灰色の眸が、もう限界だと凌牙を射貫く。それに凌牙は小さく頷くことで応えた。カイトにその眼で見られると、どうしようもなく躯が疼く。


「くっ、あ、ああっ、ひっ!」

「本当に、お前は、こういう時甘えるのが上手、だな……!」

普段はストイックな癖に、と後ろから突くカイトが嗤う。言い返したい言葉は取り留めの無い嬌声となって喉から漏れた。

悔しいが気持ちいい、堪らない、頭がスパークしそうだ。カイトの熱を内側で感じながら凌牙は穿たれる感覚に涙を零した。



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