パラレル/幸せシリーズ/会話文





「ねえ、凌牙」
「?何だ、ハルト」
「来週の日曜日、凌牙は来られるの」
「この家にか? まあ、ほぼ毎日飯作りには来てるから、来られるんじゃねぇか」
「違う。家にじゃないよ」
「は?じゃあ何処にだ」
「日曜日は、運動会なの」
「ハルトの?」
「うん」
「だったら来週は弁当だな」
「唐揚げと甘い卵焼き入れてね」
「ん」
「でね、出来たら凌牙も来てほしい」
「……十中八九、アイツが先陣切って行くんじゃないのか。場所取りも完璧だと思うぜ」
「うん、兄さんは必ず来てくれるって言ってた。……でも僕は凌牙もいっしょがいい」
「お前が走ってる最中に横でひたすらハルトハルト言ってる奴の隣は……なあ」
「だめ?いや?」
「そうじゃねェけどな、」
「この前ね、兄さんが凌牙の中学生の時の成績表のコピー見てて、体育がとってもすごいって書いてあったから……親子参加リレーと徒競走に出て欲しいんだ」
「……。――そうだなァ、その成績表コピーとやらのある場所を教えてくれたら運動会に出てやるよ、ハルト」
「ほんとう?」
「ああ。ほんとう、だ」
「ふふ。約束だよ、お弁当とリレーと徒競走」
「任せろ。一等旗は誰にも渡さねぇから」
「うん。 あ。成績表の入ってる入れ物は、兄さんの部屋のクローゼットの奥だったよ」
「そうか。ハルトは素直でいい子だな。悪い、少しカイトの部屋でやる事が残ってやがったから終わらせてくるぜ」
「?わかった。いい子で、待ってる」

*

「ただいま、ハルト」
「おかえり、兄さん」
「ん、――靴はあるが、凌牙は?」
「兄さんの部屋でまってるって言ってた」
「ん?……なんだ、随分と大胆な誘い、いや何でもないよハルト」
「? 兄さんの夜ご飯は部屋に来てからだって」
「わかった。ハルトは絵本でも読んで待っててくれるか?」
「うん」


「で、カイト。――言い残す事はないよな」
「待ッ、話が見えない!部屋に入って直ぐ本の角を飛ばす事は無いだろう!」
「あ?テメェのコレクションも無ェよ。大体何で俺の成績表コピーやら写真やら持ってんだ?」
「まあ、俺の手にかかればこれくらいの入手は容易い」
「開き直るな」
「それに今は合意の上だろう」
「何がだ」

「取り敢えず箱は焼却処分」
「ぐっ……!」
「悔しがるな!シバくぞ!」


*

「ハンッ!保護者参加なんか甘っちょろいぜ。1位の商品券は俺がいただく」
「兄さん、凌牙のお弁当美味しい」
「そうだな……」
「わあ――!凌牙が1位だね」
「リレーアンカーでも徒競走でも順位総なめだな、アイツ」


幸せシリーズ…カイト24歳と凌牙17歳の設定話
凌牙は運動神経がいいと聞いて!
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