続、ブルーノと遊星が凌牙の元にトリップしてきたら
所詮卓上決闘と侮るなかれ。
「俺はスカルクラーケンを召喚。そして手札からシャーク・サッカーの効果発動!フィールドに水族のスカルクラーケンが召喚された事で、シャーク・サッカーを表側表示で特殊召喚できる」
「レベル3の効果モンスターが二体か……」
「片方がチューナーだったらシンクロ召喚出来たけどねぇ」
パチ、パチと手札から二枚のモンスターカードを場に出せば、真正面で凌牙の相手をキラキラとそれはもう輝かんばかりの笑顔で買って出たブルーノが、隣に座る遊星と顔を見合わせている。
チューナー……、と内心首をかしげる凌牙だが思案するという行動は止めずに、手札を見やり、そしてエクストラデッキゾーンに視線を移した。
「まだ俺のターンは終わってねぇからな。――レベル3のスカルクラーケンとシャーク・サッカーをオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、ブラック・レイ・ランサー!」
「!」
「えええ!なにそのカード!」
「ああ?ちょ、おい!」
エクシーズ召喚をした途端、今さっきまで不思議がっていた異次元人二人が驚く程の速さで凌牙が召喚した黒い枠のカードを見ようと身を乗り出してくる。がたがたと忙しなく椅子の揺れる音が、相手側の動揺と好奇心さを表わしている。
遊星に至っては口を半開きにした表情から、ギラリと眸に鋭い光が走ったかと思えば無言でブルーノと同じタイミングに乗り出してきた。こわい。
びくりとテーブルから退けた凌牙は心臓をばくばくさせ、ブラックレイランサーのカードをまじまじと見る青年×2にほんの少し恐々としていた。とんでもない速さで詰め寄られたら誰だって慄くだろう、と、必死で驚いた顔を隠そうと俯きがちな彼のためにフォローをいれておこう。
「星が左側にある!モンスターのレベルじゃないのかな?」
「素材としたモンスターは墓地に送らずに重ねた上に召喚したのか……。しかしレベル3のモンスター二体で攻撃力2100、それに中々いい召喚方法だ」
「凌牙、この召喚方法って何だっけ?」
「……エクシーズ召喚だ」
「フッ。驚いた、俺達の知らない未知の戦術だな」
「ねー」
漸く席に着いてくれた二人にほっとした傍ら、デュエル馬鹿が!と強く言いたくなるが大したダメージにもならないだろうと、深いため息だけが室内に消えた。
――そうか、エクシーズモンスターを知らないのか。
卓上に出したエースカードを見つめ、改めて正面で凄い凄いと語り合う二人の青年が違う世界の住人なのだと凌牙は気付かされた。
そして矢張り決闘者のサガなのか、彼等が魅せてくれるだろう策略に興味を抱く自分がいる。
「カードを二枚伏せ、ターン終了だ。なあ、アンタ達の世界でのデュエル、見せてくれよ」
そしてゆるりと口元を吊り上げ挑発的に笑む。
シンクロ召喚しやすいからと何やら言っていたブルーノは遊星のデッキを使っている。
凌牙からの申し出にデッキ持ち主の遊星と、そのデッキを使うブルーノが楽しそうに頷き、
「勿論!」
「ああ。ブルーノも凌牙が満足の出来るデュエルを見せてくれるだろう」
また嬉しく笑ってみせた。
次はシンクロ召喚のターン