女装/学パロ





これは……どういうことなのだろう。カイトは眼前に立つ美少女――否。少女の格好をした彼の姿にとてつもなく狼狽えた。
彼は、カイトと恋仲の関係にあって、しかし女ではなく男だ。同性に好意を抱くなどあるはずないと思いもしていなかった双方が、いつの間にかお互いに惹かれてしまっていた。
そう、確かにカイトの恋人は、神代凌牙は、正真正銘の男だ。だがしかし、カイトの角膜に映っているのは誰もが口を揃えて美少女だと頷ける様な、白色のシャツに紺のスカートを穿いた凌牙だった。困惑しそわそわと目を合わせてくれない癖に彼の瞳は潤んでいて、己がいけないモノを見てしまった気がした。

「お前、それ、は」

思わず言葉が喉に突っ掛かる。平常心なぞ保っていられるわけがなかった。カイトの中で眠っていた野獣がぐるるとご丁寧に舌舐めずりをして首を上げた気配がする。

「っ、文化祭の、喫茶店の衣装……だ」

白い半袖から出るほっそりとした、だが筋力はある腕に膝上の紺のスカートから覗く内腿、……満点だ。異論など彼方へ消え去るくらいに素晴らしい。
文化祭の出し物で広報担当はイメージガールだと提案し力説したクラスメイトへ拍手を贈りたいくらいだ。提案者は年度末試験を無しにしてもいい。……まあ、それを採決し決定書類を教師に上げたのはカイトなのだが。

「……違和感が、本当にないな」

「知らねぇよ!」

「いや、確かにお前がその姿で呼び込みすれば客は砂糖に群がる蟻の如く来るだろうが……。ああ、そうだな俺からの率直な意見を言うなら――止めたほうがいい」

「は、カイト?」

「衣装は変えさせるか。それは後で使うから棄てずにおけよ」

いけない、これは、いけない。GOサインを出したのは己だが、想像以上に凌牙の姿は危ない。学祭中に襲われるなど笑えない、襲うのは自分だけだ。
瞬時に駆け巡る考えに首を縦に動かし、凌牙へ着替えてこいと制服を押し付ける。
セーラー服は駄目だ。もう一度言う、駄目だ。
可愛くてこちらの身が持たない。




セーラー服は後日別件で凌牙が着てくれますよきっと
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