※病んでる暗い




じわりと頸部に触れた両手が熱を持つ。こいつの身体はこんなにも細かったのか、と感触を楽しむ指に汗が滲んだ。
嗚呼俺は今こんなにも暗く底知れぬ感情に満ちている。は、と心の底から零れ落ちたのは自分でも驚く程に歪んだ笑みだった。喜びとも幸福とも優越ともつかない思いがぐずりぐずりと混ざり合わさる。合わさったそれらはどろりとした感情の塊へ変化し、カイトの内側へひとつふたつと沈んで行く。

「遊馬、苦しいのか?」

喜悦を含ませトーンを落とした声で問い掛けると、眼下の苦しげに歯を食いしばる顔。遊馬の瞳が涙の膜を通してカイトを責めている気がした。
脳の奥が一瞬で熱くなった。その光景に眩暈がする。
どくりと脈打つ遊馬の躰は思っていたよりも壊れやすいのだろうか。

「……このまま楽にしてしまえば、お前からナンバーズを奪えるだろうか? それだけじゃない。遊馬、お前の何もかもを俺が、」

このまま頸部を圧迫すれば、遊馬の熱は溶けるように下がっていくのだろう。
そうしたら全て俺のモノに。
仄白い素肌が厭に艶やかに見えた。


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