節電しよう
汗が体にまとわりつき、じっとりとした暑さが俺を苛む。
……暑い。
寝返りをうっても、窓に近付いてみても暑さから逃れる術もなくただ暑さと格闘するのみだ。
つい先日7月にはいったばかりだというのにこの暑さでは8月のことが思いやられる。
「坊ちゃま…」
なかなか寝付けずベッドの上を転がっていたらじいやが声をかけた。暗闇にもだいぶ目がなれてきており、じいやを判別するのは他愛もないことであった。
「坊ちゃま、クーラーをおつけしましょう」
「いいといってるだろ!庶民はこの暑い中クーラーをつけずに暮らしてるんだよ!そんな中俺様だけがいい思いできるかっ…!」
「坊ちゃま…!!」
***
「岳人、跡部になにいったん」
「いや節電のために俺クーラーきってんだぜって…侑士、何いわれたんだ?」
「『クーラーがない夜があんなに暑いもんだとはな…!お前らだけにこの辛さは味わわさせねぇぜ』」
「…悪いことしたな、俺」