あ、
些細なことで起きると、もう眠れなくなる、というのは俺の体質だ。
いくら眠くても、目を瞑って枕に顔をうずめても一向に眠気は襲ってこなく、仕方なく起き上がった。
時間を確認すると6時。久々に部活がない日曜日で、こういうときは自分の体質が嫌になってしまう。しっかり体を休めたかったのに。
しかし寝ていても何もないので、重い体を起こして洗面所に向かった。
蛇口を捻り冷たい水を何回か顔にかけると完全に目が覚める。
窓からは小鳥のさえずりが聞こえ、久しぶりに朝の街を散歩してみようと思った。
思いたったら即行動。というわけで無難な服に着替え健康サンダルをつっかけて外に出る。
朝の空気は澄んでいて、昨日降ったであろう雨はもうあがっており、地面を濡らしていた。
じめりとした夏特有の空気が肌に纏わりつく。しかし早朝だからか涼しい風が吹き、露出した腕を冷やしていった。
「あれ、仁王?」
女みたいな声で呼び止められふりむくと、やはりというべきか、幸村がいた。
いつもするようにカーディガンを肩にかけ、俺同様散歩していたのだろうと見受けられた。
「こんな朝早くに何しとったんじゃ」
「仁王こそ」
「散歩か?」
「さあね」
幸村はそう呟いたきり押し黙ってしまった。
幸村も思うところがあるのだろう。
しばらく二人で無言のまま河川敷を歩く。河原では犬の散歩をしているおじさんやらウォーキングをしているおばさんがいた。
「日曜日くらいゆっくりすればええんに」
「……」
幸村はまだ黙ったままだ。そのままぼんやりと舗装された道路を歩いていくと幸村は声を上げた。
「仁王、コンビニあるよコンビニ」
「見たらわかるんじゃけど」
「おなかすいた」
「……」
前言撤回、こいつはなんにも考えちょらん