ねこ
「部長、これ飼いたいっす!」
赤也が小さな白い猫をかかえそう声を上げた。精市はう〜ん、なんてわざとらしく唸る。
「真田がいいっていったらね」
「やった!副部長!」
お父さんがいいっていったらね、なんていうセリフに酷似した言葉をはいて、ニコニコと見守る精市は完全に母のそれだった。
「駄目だ!どうせ最終的に世話を俺か精市に任すのだろう!元の場所に戻してこいっ!」
「ええ、こんなに可愛いのに!ひどいっス、ふくぶちょー…」
赤也が名残惜しそうに子猫の頭を撫でるのをみて、弦一郎がデータ通りの行動をした優越感も相まって手助けをしてやる。
「まあいいじゃないか、弦一郎。いい教育になる」
「む…。しかしだな…」
「いいって、赤也。」
「わー!よかったな、ホワイトナイトイクスプロダクション!」
……。
ホワイトナイト、イクス…って、赤也は意味がわかっているのか?
そう質問する前に弦一郎が同じことをきいたようで、それに対して赤也は満面の笑みでいった。
「なんだかかっこよさそうなものを適当に繋げました!」
…そうだろうな。
***
「チキチキ、第1回ねこの名前決めたいかーい!」
丸井が椅子をぎいぎいと軋ませながら棒読みでそういった。
「ちょ、にゃんこ近寄らさないで!怖いから!」
怖さのあまり標準語になっているぞ、仁王…。
「じゃあ適当に名前いってください!」
「ここは無難にシロだろう」
赤也の言葉に近寄ってくれない真っ白の子猫をみて弦一郎はいう。
「ラモスなどいかがでしょう」
「ラモス!?」
「whiteは?」
「英語にしただけじゃないっすか!」
「ひこにゃん!」
「ひこにゃ、駄目っスよ!それは絶対!」
ミルクちゃんはどうか、なんていえる雰囲気ではないな。