あつい


まだ4月だというのに、神奈川県仁王宅は暑かった。
いや、俺の家だけじゃないとはわかっとるが、とにかくあつい。


「姉貴、アイスある?」
「うわっ雅治もう半袖半パン!?きもっ」
「……。」

会話になってない。
いつものチョロ毛は夏仕様に少し上でポニーテール風になっている。

このくそ暑いのに長袖をきている姉貴を一瞥し、諦めて自室に戻る。

「あ、雅治、クーラー」
「ええんか?」
「使うな」

はあ、と溜め息をついて冷蔵庫から先ほど取り出した氷を口にいれる。
冷たいそれはゆっくりと溶けた。しかし無くなったら口寂しい。

パタパタと団扇で自身を仰ぎながらもう寝ようと窓を開けた。
網戸からは涼しい風が時折はいってきて、これは気持ちよく寝れるな、と思った。

電気を消すと、網戸は見えなくなりまるで普通に開け放った窓に見えた。

手を伸ばして触ってみるとやはり網戸で、そのまま体重をかけてみるとがこっと音が、……え?


「全治1ヶ月です」

自室の窓から落ちて入院、なんて恥ずかしすぎるじゃろ…。

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