ボケとツッコミ


「ていおーかーくていおぉかーく♪」

今日も花が満開に咲いている。
桜ではなく、精市の頭の中での花畑の、だが。

「ご機嫌だな。」
「うん!」

自由勝手気の向くままに振る舞う精市には苦労を掛けられてばかりだが、その世話をするのは嫌いではない。

「バッキンガム!」

急に叫んだ精市の顔には満面の笑みが浮かべられている。
突飛で意味の分からない言葉や行動は
彼の中ではきちんと筋道立った考えが展開されているのだろう。


「ねぇ蓮二、ボケとツッコミならどっちが賢いと思う?」


きた。
もはや慣れたものだが、突然であり脈絡がない精市の質問。

「ツッコミだろうな。それなりの知識がないと出来ないだろう」
「…じゃあボケは?頭悪いの?」
「天然ではないボケはかなり頭を使うだろうな。そういう意味ではボケの方が賢いのかもしれない」

俺の答えに一応はそうか、と頷いた精市だが、何か腑に落ちないらしく考えこんでいる。
質問を持ち掛けられるのはいつものことだが、俺の答えが精市の望む物かどうかと聞かれれば、今のところ64%はNOだ。

「柳に幸村君。何してんの?」


そうこうしているうちに立海の豚こと丸井ブン太がやってきた。
精市は目を輝かせて先ほどと同じ質問を丸井にぶつける。


「漫才のね、ボケとツッコミ、どっちが賢いと思う?」

続いて俺も、ノートを開く。
三強と呼ばれる身としては恥ずべきことだが、立海の中で精市の扱いが一番上手いのは丸井だ。
丸井が幸村の気に入る答えを出す確率も82%と高い数値。
これは注目しておかねばなるまい。
この俺の胸の内などつゆ知らず、丸井は答えを口にした。



「そりゃ、ネタ考える方だろい」



その時、俺は心の底から精市の自由奔放さを羨み、彼になりたいとさえ考えた。
なぜならそれは、手に広げているこのノートを地面に向けて思い切り叩きつけてやりたいと、そう思ったからだ。

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