まだ不完全ながら
(自由にお使い下さい)

0615
魔女の小指を舐めたら幸せになる

村に伝わる言い伝えを信じた女は暗い森を何日間もさ迷った。しかし、たどり着いた魔女の家は朽ちた廃墟だった。朽ちた部屋の中の朽ちた椅子に座る魔女は年老いていて、今にも砂になりそうだ。老いた魔女は女が来た理由を知っているかのように小指を差し出した。指は埃や土に汚れて茶色になっている。それに、老婆は臭っていた。女の迷う瞳を目にした老いた魔女は澄んだ瞳で小指を下げると立ち上がった。すると、年老いた魔女は美しく変わり、穴の開いた布は生花が飾られたドレスへ変わった。そして、朽ちた廃墟は調度品まで豪華な城へ変わった。「お前に魔法は使えない」女は慌てて美しい魔女の前に跪くが、魔女は女に見向きもせずに追い返した。それから、女は魔女にはおろか、魔女の家すら見たことがない。そして、どこか魂の抜けたような顔をして呟く。「魔女の小指を舐めたら幸せになる・・・」



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