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今日は、いつもより寒いんだね!よし、三成さんにこれを話そう。そして、告白しなければ。
少女はそう意気込む。
家のテレビの天気予報を見ながら頷くのだった。

外に出たが案外普通だ。琴枝と何を話すか?
少年はハテナを浮かべた。白銀色の髪に吊り目、雰囲気は如何にも真面目。実際に真面目だがたまに天然。
木枯らしが吹く、電柱が並ぶ住宅街を歩いていった。

人が多くなる。
ここで琴枝を捜すのは苦労する。が、あいつはマフラーをするから絞れ……なかった!!
少年ーー三成はあちらから来るのを待った。

待ったのは30秒以内である。

私は三成さんを見付けて、走る。

「三成さん!」
「遅いぞ。」
「嘘付け、すぐに見つけましたが。」
「……」
「……?」

不意に三成の手が伸び琴枝の頭に触れた。

「待つのは無駄な時間だ。明日から迎えに行く。」
「えっ、良いの!私が迎えに行くよー!」

顔が紅くなる琴枝と一緒に改札口へ向かった。

同じ学校、同じ最寄り駅だから、毎朝会うようになった。
同じ学年、同じ風紀委員会だから、毎朝待ち合わせるようになった。

二人は足を進めた。

(ここで言おうかな?……まだ良いか。)
「琴枝?」
「……どうした?」

じっと三成に見つめられる。
今まで見た人の中で綺麗な瞳だと思う。
その三成さんに見られると、脳裏に私の記憶が始まる前のいつしかのあの濁った瞳が浮かのだった。


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