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昔々、竹取りの凶王と云う名の男ありけり。竹を切り刻み市場で売り払い、豊臣に貢ぐ。ある日その男、思い付きで、次の天下人の息の音、斬り刻む旅に出たり。

「それは、ワシの事か。」
「真顔で仰る徳川様、さすが。」

ある晩、光輝く竹を見付けてしまった。凶王は付き人に意見を求める。
『刑部、私はこの竹を切り刻むべきか。』
『そうよ、切り刻むが良いわ。』
付き人の言う通りに、竹を斬る。

「待ってくれ、琴枝殿。ワシにはキツいぞ。」
「そうですか……では、南蛮の伝説で。」
「いーや!もう大丈夫だ!」
「そうですか……?」
「あぁ、そうだぞ。」
(もう琴枝の作り話でワシが遊ばれるのは御免だ!)

家康はちょっとんとする琴枝に笑みを見せていたが、冷や汗ばかりだった。



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