03
海に行こうと思わず打ってしまったが、本来なら何処でも良い。何処でも良いが、山は体力無い二人にとってはキツいし何より蚊対策をしながら歩くのであれば海の方がいい気がする。日焼け対策ぐらい日常的なものだからだ。
そして、シンタローと何処かに出掛ける時間が空いているのは今しかない。もしかしたら、塾の関係で行けないかもしれないけど行動しなくてはシンタローとの距離は縮まらないし、思い出も何一つ出来ない。
そう思ってメールを送ったが………。
「まだかなー?」
呟き声が一人部屋に響き5秒後、メールを送って2時間が経った。
やはり、塾の関係やらなんやらで、断る文面を書き悩み途中かもと不安になる。
(シンタロー……ごめん)
思わずため息が出た時……。
ピッ………ピロリーン♪ピロリーン♪ピロピロリーン!!!
ビクッ!!
返事がいつ来ても起きれるようにと大音量で設定していた自分が悪い。なぜ、驚いてフリーズして居たのだろう。自分のテンションや後悔さにため息をつきながら携帯を開く。
断る文面だと思いながら開いたが……。
『アヤノはいつ、日にちが空いているんだ?』
思わず笑顔になった自分が居た。
-------数日後
××ビーチ
数時間(と言っても2時間ぐらい)離れた場所にある県のビーチだ。
昔は沢山の人々で栄えていた−−と書いてある看板を見つけたが今も不景気なりに栄えているとシンタローは思った。
子連れ客、友人同士、部活仲間同士、そして……。
「シンタロー早いね!」
「お前は遅いだけだ。」
友人以上、恋人以下の俺達。
アヤノは少し遅れてやって来たのに満面のスマイルだ。
「えっ?集合時間には間に合ったよ?」
「……ぷっ。遅れたんじゃないか?」
「……!!シンタロー酷い!!」
笑顔のアヤノも怒ったアヤノも……
「可愛いな」
ボソッと呟いたが、思わず顔が真っ赤になった。そして、アヤノに少し心配された。
お互いに水着は持って来なかった。
理由は簡単でお互いに泳げないからだ。
つまり、お互いに溺れた際に助けられないという恐ろしい場所を選んでしまった。
でも、せっかく海に来たんだ。
少しぐらい、水に触れたい。
と言うことで。
「シンタローも短パンを持って来たんだね」
ニコニコしながら言われた。
短パン持ってきて、と言ったのはどこのどいつだ。
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