1日経った頃の夕方。
結局、取材を受けることになった左近は、オフィスビルの一室に足を踏み入れた。
(なんで、こんな事に……。)
『これで、左近の居場所を広めれば、石田氏にも届くのでは?』
『確かに、そうだけどよ……。』
きっと、クラスメイトにバレちまって噂になるに違いない……いやいや、近所の人にも何か言われちまったら、どう責任を取ってくれるんすか!!
『あ〜それなら大丈夫!案外、直ぐに忘れちまうから!』
不可思議な忍術で勝家の自宅に入り込んだ記者−−佐助は笑顔でウインクをするが、全く安心できねえよ!と左近は心の中で叫んだ。
そんな安心できない中、左近は佐助を待った。
今回、勝家は左近を無理矢理引っ張り、病院ではなく自宅で匿った人だ。だが、勝家は『私には都合が悪いが故に、断らせて頂きたい。』と言い断った。そして、何故か連絡が着かない。携帯端末を弄り、幼馴染みの心配をしながら暇を潰していた。
(本当に都合が悪かった……って事か。物騒のに巻き込まれていなちゃ良いけど。)
キリが良いところに佐助が入ってきた。
「あ、早く来てくれたのに待たせてごめんね。」
「良いっすよ。でも、余り……。」
「それは大丈夫!俺様もサービス残業になる前に、帰りたいから同じだね?」
ニコニコ笑う佐助に左近はただ頷いた。
そして、レコーダーが置かれる。
レコーダーを見つめる左近に、悪いものは入っちゃいないよ?と話す。そうすれば、単純な人は警戒心を溶くんだよね。
佐助は紙コップにコーヒーが入っていそうな物に視線を然り気無く移す。
まさか、これがカメラって気付いていない筈だし、さて、取材をサッサッと終わらせますか。
「じゃあ、まずは−−−。」
1時間が経過した頃、取材は終わった。
−−−
興味もなく、テレビ番組を眺めていれば、物騒なニュースが目に入って来る。
何故、こんな事をする奴等が多いのか。
しかし、そんな事を思う人もまた、前の世で手を血に染めた。
何度も何度も繰り返し、現在(いま)よりも多く。
今更、許しを乞う気は無く、許して下さる御方が傍に居なかった。
私は今、此処に存在していない。
日の光を高度の高い遮光カーテンで閉じられた世界で生きている。
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