ドアの向こうを見つめる。
何分が経った後、勝家は小さくため息を吐きながらコソコソと左近に話し掛けた。
「駄目だ。どうやら、無視や居ないと言っても帰る気無いようだ。」
(いやいや、話した時点でもう帰ってはくれないでしょ?!)
ギョとした目で勝家を見る。いつも通り姿勢良く正座をしている。
(『私はいつでも冷静だ。』みたいな雰囲気出していますけど、話しちゃ駄目だろ〜!!あぁ、帰りたい!!)
左近は、そんな気持ちを抑えつつ勝家に疑問を投げかけた。
「だけど、どうして勝家の住所を突き止めたんだよ。」
「それは、記者(忍)だからであろう。」
冷静に淡々と語る勝家の言葉に反応されたのか、記者はからかった。
「もしもーし?話し声聞こえてますよ?」
「「!!」」
「マジでヤベェ。」
「片仮名が多く私にはよく分からない。」
勝家は冷静に見えるが実はそうでも無いのかも知れない。まるで、怒られた幼子のように、視線は泳いでいるし、申し訳なさそうに眉を下げている。
そんな勝家に対し左近は笑顔を向けた。
「帰れなさそうだな。助けて貰ったのに、こんな事に巻き込んでしまって、すまない!勝家!」
その言葉を聞いた途端、安心しきった表情になりふっと笑った。
「私は大丈夫だ。」
「そう?なら、入っちゃおかな?」
「「……もう入って(い)る。」」
二人は茫然とした。何故なら同じ人が沢山居るのだから。
「大丈夫だよ、俺様一人だけしかいないから。」
かなり興味深そうに聞いてきたのは勝家。
「では、あの後ろに居た人たちは?」
「あれは、俺様の分身だよ。ぶ・ん・し・ん!」
ほらね、と指を鳴らすと分身は見えなくなった。まだ何が起こったか分からない左近は固まっている。
「あぁ、私は騙されていたのか……是非、その技術を私に教えて頂けないだろうか?」
「勝家??!」
「じゃあ、そこの青年を貰っても良いかな?」
「(ちょ、お二方さん〜?突然、どうしちまったんだよ?)」
その時、涙目になる左近を置いとき盛り上がる二人がいた。
−−−
「あぁ、自由に話を聞くが良い。」
「勝家さん?!」
「流石は怪王!」
「そうだ、私は……拐王だ!」
「待て、俺と勝家は幼馴染みだ!!」
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03