いろいろしょーせつ | ナノ
深い眠りの中、走馬灯のような夢を見た。


みんな同じように転生していないか捜すと、勝家に出会えた。
勝家とは、俺が転生していると気が付く前から出会っていた。つまり、幼馴染みである。
始まりは、夏の墓参りの時であった。先祖が眠る場所は、住んでいる都会より蝉が煩く鳴いている田舎であった。9月になれば彼岸花が辺りに咲くと聞いた。

「離れないようにね。」
そう母さんに言われていた。
しかし、よそ見をしていたせいで迷ってしまい、捜し疲れた果て木の切り株に座り込み賽子を振っていた。

夕方が終わりそうな空を見つめ、目頭を拭う。
(拭いきれねえ……。)

しばらく、俯いたまま涙を拭っていると影が俺に重なるように伸びた。

「(迎いに来てくれたのか?!)」

期待し顔を上げると、俺より少し年上くらいの子が立っていた。おかっぱ頭で手には灯りを持っていた。

「早目の彼岸花だと思い、来てみれば、只の人の子か。」

目を細め冷たく測れた言葉。

「俺は迷って……!」
「知っている。此処へ来たのもその故だ。」
「捜しているのか?」
「あぁ。迷い子はよく此処へ来ては、妖怪に怯え逃げる。」
「……妖怪に?」
俺は生まれつき幽霊が見えちまうから、思わず身体を震えさせると、少年はどこか寂しそうに見えた。
「妖怪は私の事だ。」

そんな事はどうでも良いか、と小声で言われ「両親が捜している。道案内をしよう。」と手を伸ばされた。

結局、捜し歩いている時に転び足を擦っていたので、おんぶして貰う形となった。
「なあ、お前妖怪なのか?」
「……私の姿を見て『幽霊!』と叫び腰を抜かす。」
「でも、俺には優しくて強い奴に見えたんだけどな〜。」
その声に相手は少し振り向く。
「わざわざ、俺の事を捜してありがとな!勝家!」
その時は思わず出た名前だった。
「……!!」
「どうした?」
「何故、私の名を?」
「アレ?言わなかったけ?」
「そう、ならば良い。左近。」
始めて微笑む顔を見た。
数時間の時を過ごした気がした。勝家が言うには、墓地から遠くに離れていたらしい。

両親の元に着いた時には、星が瞬いていた。勝家にまた、会う約束をしようとする前に手元にある賽子を渡そうとし投げた。
「勝家!」
パッと振り向く勝家に賽子を2つ投げると上手く掴んだようで、まじまじと賽子を見つめた後「忝(かたじけ)ない。」と返された。


夢から現実へ引き戻したのは、扉のノック音であった。勝家がノックした主と話している。
「……俺、そろそろ帰らないとやべーよ。」
「今は出ない方が良い。」
「どうしてだ?」
「……あの事故についての取材が来ている。」

「俺様には、そこに居る分かってるんだよね〜。早く出てきた方が身のためだよ?あ、顔は映さないから、ね?」

チェーンこそ掛けられてはいるが、緊張感溢れる扉の向こう。
しかし、直ぐに声の主が分かった。

「武田の忍……以外にもいるよな、こりゃ。」
急な展開に驚き二人は顔を見合わせ黙り込んでしまった。

「扉はアレだけだよな。」
「そうだ。」
勝家は首を縦に振る。コクンと効果音が付きそうである。



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