※セレナが人外注意
※色々とかわいそうで胸くそ悪いかも
昔々。
禁じられた実験により、モンスターと人間の融合体が生まれてしまいました。
それでも、彼女は生きようとしていましたが……。
−−−ダレもいない。
−−−ワタシはとじこめられて。
彼女は一人、諦めながら実験に耐え暮らしていました。
そんなある日。
ついに、彼女は自分の暮らす部屋から飛び出し、逃げ出しました。
モンスターと融合した身体だ。
私は追手より速く速く動き回る。
大きな扉を蹴飛ばした先にあったのは、よく分からない形の機械でした。
「何だ?この不気味な機械は……。」
暖かい感じがしました。入れば何か分かるか?
「……。」
向こうを見つめると、向こうから追手が迫っている。ご都合主義者め。
彼女は無理矢理、機械の中に入りました。
追手が放った私の言葉。
「待て!セレナ!」
そうか。私は【セレナ】というのか。
暖かい光に包まれ、やって来たのは、恐ろしい実験などしない穏やかな世界(次元)でした。
融合体と言えど人間と同じ位に近いためか見分けが付かず、暮らしていけそうでした。
獣のような私。
暮らしていけそうでも、上手くは行かず、裏で沢山のモノを壊して生きました。
今日も誰かを……*すんだ。
彼女が狙ったのは、同い年位の少年でした。しかし、上手く動けない……?
「柚子!」
「……貴様、今から私に食べられるんだぞ。」
「何を言っているんだよ?」
「分からないのか?」
「う〜ん。お腹が空いているんだよな?」
「当たり前だっ!」
「そんなんなら早く俺ん家来いよ!」
少年は優しくセレナに手を差し伸べました。
少年−−遊矢に付いていくと、遊矢の母親らしき人と会いました。一瞬、驚いたような目をすると微笑んで歓迎をしてくれました。
そこでは、自由も温もりを手に入れられました。
しかし、この世界では私は【柚子】なのか?
遊矢も、ルビーの瞳をした少女も、遊矢の幼馴染みも、みんなみんな【セレナ】と呼んではくれなかった。
私は遊矢の母親に訊くことにした。
すると、母親は「やっぱり、違っていたんだね。」と安堵の表情をしていました。
「どういう事だ?柚子とは誰だ?」
「柚子ちゃんは、セレナちゃんによく似た女の子だったよ。」
一瞬、誰かの叫びが聞こえました。
「今は居ないのか?」
次は笑顔で話し掛ける人が浮かびました。
「ある日、消えちゃってね。遊矢と柚子ちゃんは、まだ幼いけども許婚だったから……悲しいよ。」
思い出した。
遊矢に始めて出会った時、【柚子】が【セレナ】を必死に止めていた。
そうだ。
【柚子】と【セレナ(私)】は。
頭を抱え泣き出したセレナに遊矢の母親は頭を撫でてくれた。
−−−
【セレナ】によく似た【柚子】を捕らえた実験施設は初めに【柚子】を実験体にしてしまったのです。
それでも、彼女の意志は生き続け【セレナ】の中に入ったのです。
その晩、【柚子】と意思疏通が出来ました。どうしても伝えたいことがあったからです。
「私は遊矢の元に居続けては行けない。遊矢が可哀想だ。」
『私は遊矢の元で笑っていたいわ。』
意外と即答で返ってきた。それほど、柚子の想いが強いと言うことか。
「しかし、遊矢は救われない!」
『……ようやく会えたのに?』
悲しそうな柚子の声が響く。
セレナは少し考えた。
「ならば、柊柚子。モンスターと人間の融合体である私を食べろ。そうすれば、柚子も私も遊矢も救われる。」
『セレナ……。』
「大丈夫だ。私は十分に生きた。私が今まで生きて来られたのも、柚子のお陰だ。」
精一杯、私は微笑んだ。
そこからは意識は無い。
ただ、漂っている感覚のみだ。
−−−−後書き
セレナちゃんはキメラみたいな感じですね。柚子ちゃんの意識は実験途中で紛れたのかもしれません。最終的に、柚子ちゃんがセレナちゃんの身体の主導権を握ったので、セレナちゃんは意味もなく元自分の身体の周りに漂っています、空気。
初め遊矢中心の話でしたが途中でセレナちゃんに……私は悲恋しか書けないのかな。
夢小説の別館でもこの話をベースにした短編をあげる予定です。もし、見つけたら名前は違えどそれは私です。
悲しき少女たちの話