いろいろしょーせつ | ナノ
※遊矢の性格が病んでる感じになってます
※黒咲さんが心理的な病気みたいなのにかかってます(色々と可哀想)

つまり、キャラ崩壊しています。

※軽くキス表現があります。
※安定のギャグ無しの暗めの内容
※設定を捏造しているかもしれません。

これらの事が大丈夫な方のみお進み下さい。





『瑠璃はどこだ?』
『……彼女はもうこの次元には居ない。』
『どういうことだ!答えろ、ユート!!』

ランサーズに加わった隼は部屋の隅で壁を背にし座っていた。一時アカデミアの侵略が遭ったが、その嵐が過ぎればスタンダード次元はあくびが出るほど平和で穏やかである。
広い空間に隼ひとり以外誰もいない。瑠璃もユートも。
眩しい日の光を遮るようにカーテンを全て閉めて記憶の糸を手繰ったが、考えれば考えるほど胸が辛く苦しくなった。
「ユート、瑠璃……。」
ユートは榊遊矢に出会わなければ消えることなど無かった。いや、もう少しユートを強く大切にしていれば良かったのに。
今は考えるな。
水を飲もうと隼は立ち上がりコップに水を入れた。目の前には鏡がある。そこに写る自分の姿は余り宜しくない顔色であった。
そして、またユートや瑠璃のことが頭に過った。
首を振り目を細めた瞬間、身体の力が抜け床に叩きつけられる。コップから水がこぼれ落ちたのと同時にガラス製だったので破片が飛び散った。
そんな事よりも息が出来ない。空気を吸おうとしても鳥の鳴き声のような音が出るだけ、響くだけ。同時に胸がとてつもなく痛く激痛が走る。
「ユ、……ト。」
朦朧とした意識の中、ユートらしき人が見えた。

零児から「ご飯を食べるように指示してくれないか?」と頼まれた遊矢は隼の部屋の前に立つ。
まだ零児のことは許せないが言っている事は正しかったから従ったまでだ。
手には母さん特製パンケーキがある。食べてくれないかもしれないが、その時はユートのように無理矢理……無理に食べさせるのはやめよう。
「黒咲〜ご飯食べなくって良いのか?母さんからの差し入れだけど……。」
ドアを開け部屋に入る。
暗いから不在か?と思った。しかし、
「……黒咲?!」
倒れ込み息が出来ずにいる隼がいることに気付き駆け寄る。
「ユ、……ト。」
「ごめん、」
遊矢の中のユートは隼を抱え込み、人工呼吸をするようにキスをした。

−−−
いつの間にか寝ていたらしい。
目を覚ます時には朝の日の光がカーテンの隙間から出てきていた。
「……榊遊矢か。」
ユートだと期待をしたが、隣で寝ていたのは遊矢だった。いや、なぜ隣で寝ている?
「ん。おはよう。」
「おはよう……ではなく、どうしてここにいる?」
眠たそうな目を擦った遊矢は昨日の事を説明した。
「つまり、俺の唇を奪ったと。」
「だって、過呼吸を起こしてて助けるのはそれしか思い付かなかったんだ!」
必死に返す遊矢。
恥ずかしいのか顔が赤い。
「そうだ!ご飯を食べさせるよう言われていたのを忘れてたよ。」
そう言いながら、笑顔でパンケーキを温めに行った遊矢。

ふと視線を下に向けると包帯や絆創膏が腕や手に貼られていた。
ガラスの破片も取り除かれ、片付けられている。
瑠璃も丁寧に怪我の治療をよくしてくれていた。ユートは無言で大量の包帯を巻いてくれた。遊矢はきっと悪い人ではない。
「だが、零児に操られているはずだ。」
「そんなことない。」
どうやらパンケーキを温めて戻ってきたようだ。
「俺は柚子を見捨てたアイツに復讐をする。それまで素直に言うことに従うまでだ。」
「榊遊矢?」
「黒咲も同じなんだろう?」
「いや、俺は……。」
パンケーキを適当な大きさに切り、口元に持ってきた。
「都合よく操られているのは同じだよね。」
言われた通り、思い返すと確かにそうだ。
濁った遊矢の目に俺は映っているのか?単に仲間が欲しいだけなのでは?
「一番に苦しめられているのは黒咲だよね?辛かったよな。」
続けて「だから、協力してくれないか?」と歪んだ笑顔で言われた。
「復讐にか?」
「全てが終わった後にするんだ。」

ゆっくりと瞬きを一回し、フォークを手に取りパンケーキを食べる。
「美味しいか?」
「あぁ。」
そのフォークを取ったとき、いや、出会った時から既に零児に復讐をすることは決まっていたかもしれない。

だが、まだ全ては終わっていない。その時までに、榊遊矢の中にある復讐を止めてみせよう。例え、遊矢の中に眠るユートも同じことを考えていたとしてもだ。




フォークと復讐
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