紫花は今日も従う
久しぶりにエクシーズ次元から此処(アカデミア)に戻って来れた。
しかし、ジズルは抹殺命令が出されている『カイト』とデュエルし負け、強制的に戻ってきた。その為か、ジズルのプライドはボロボロで、戻ってきた瞬間にジズルは重力に従い倒れた……。

(ちくしょう……生きて帰って来れただけマシか。)

ジズルの本職はアカデミアの研究者だ。その故に彼女は全く強くはない。寧ろ、珍しく初心者レベルだ。
しかし、彼女は人手が足りないという名目の"囮"でエクシーズ次元に飛ばされた。そして、彼女は見事に囮になり抹殺するべき相手の情報も得られた。アカデミア側からしたら利益は十二分にあったが……彼女の身は。

「全く、ジズルってば上手く囮に成れるんだね。」

「……ユーリ様の命令で・す・か・ら・ね!」

ベッドの上で立ち上がれなくなっているジズルを見、笑っているのはユーリだ。二人はデュエルの実力では天と地の差だが、ユーリ自ら彼女を部下にした。

『ねえ、今日から僕の部下になってくれない?主に君の得意分野での仕事なんだけど?』

その言葉を聴いたとき、ジズル自身とても嬉しく直ぐに『OK!』と言ったが……。

「こんなボロボロにされるって知らなくって不貞腐れているんだね?」

何故か嬉しそうに語る彼に対し、ジズルは肩を震わせた。

「怒っていますか?」
「……どうして?僕は怒らないよ。お疲れ、ジズル。」

ユーリは動けないジズルの額に軽く口づけをし、部屋を後にした。